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全員集合写真

【参加者の皆さん(左から)】
島田潤一郎さん
企画立案から編集、営業まで出版に関わる作業のすべてを自分自身で行うひとり出版社「夏葉社」代表。

小国貴司さん
新刊書店「リブロ」勤務を経て、現在は駒込で古書と新刊のセレクト書店「BOOKS青いカバ」店主。

とみさわ昭仁
ブックオフ全国565店舗をめぐり、「日本一ブックオフに行く男」の異名を持つライターで、プロコレクター。本企画では司会を担当。

佐藤晋さん
落語、演芸、演劇、その周縁文化に関する本を中心に扱うネット古書店「ドジブックス」店主。

馬場幸治さん
古本販売のほか、ときには店内で音楽ライブなども行われる下北沢の名物書店「古書ビビビ」店主。

ブックオフの“立地萌え”?

とみさわ 座談会を始める前の雑談で少し話題に出ましたが、初めて行ったブックオフって、皆さん覚えてないでしょう?

島田 それ覚えてないんですよ。

小国 記憶にないですね。

とみさわ 私もそうなんです。ブックオフは古書店の中でもあれだけ印象的な存在なのに、なぜ覚えていないのか。とくに我々みたいな職業だったら覚えていそうなのに。

小国 その存在をどうやって知ったのかも覚えてないんですよ。

島田 なんででしょうね(笑)。新古書店のブックマートさんとかいろいろあって。

小国 CDとゲームと雑誌と本とコミックスが置いてあるような店というのは、当時たくさんあって、すごい行ってたんですよね。でも、ブックオフは黄色い袋だったじゃないですか。

とみさわ 初期のブックオフはそうでしたね。

小国 あの黄色い袋を初めて認識したのは、いつ、どこだろうって必死に考えてるんですけど、いまだに思い出せないんです。

島田 覚えてるのは、町田店(現・BOOKOFF SUPER BAZAAR 町田中央通り店)がこんなにデカイのか! っていうこと。

BOOKOFF SUPER BAZAAR 町田中央通り店の外観
町田店とは、日本一大きいブックオフと言われた「BOOKOFF 町田中央通り店」のこと。2008年9月に店舗建て替えを期に場所を移して「BOOKOFF町田東急ツインズ店」となり、その翌年の工事完了に伴い「BOOKOFF SUPER BAZAAR 町田中央通り店」としてリニューアルされた。

とみさわ あそこは私も初めて行ったときはびっくりしました。

島田 それから、馬場さんと共通の思い出の店である、あの……。

馬場 大蔵多摩堤通り店(現・BOOKOFF PLUS 大蔵多摩堤通り店)。2階建てで、駐車場が奥にあって。

島田 そう、あれをもう偶然見つけたときの喜びたるや(笑)。多摩堤通りを車で走っていて、東名高速をくぐり抜けたらドーンとデカいブックオフがあって。そういう郊外の大きい店の衝撃。

とみさわ とにかく「大きい」というのはポイントでしたよね。

佐藤 ぼくは神奈川県育ちなんで、ブックオフの発祥の地じゃないですか。だから、やっぱり東京とはちょっと違う感じがするんですよ。神奈川県でぼくがよく行ってたのは「ぽんぽん船」なんです。

ぽんぽん船の外観
「ぽんぽん船」。90年台前半に横浜市周辺で幅広く展開していた新古書店。ブックオフ創業者の坂本孝氏が、古本リユース事業のモデルにしたことでも知られる。

とみさわ 佐藤さんが「ぽんぽん船」に行っていたのは、そこがブックオフ由来の店だからということではなくて、地元だから?

佐藤 そうです。単に地元にある新古書店だから行っていただけです。他にも「古本市場(都内にある古本市場とは別会社)」とか、そういう類似の大型古書店をとくに区別せずにあちこち行ってました。

とみさわ 東京も最初の頃はそんなに大型店ってなかったですよね。あ、町田店があるか。

島田 あと北烏山店(BOOKOFF 北烏山店)も。烏山の近くで働いているときに、パートの女性が「北烏山店があるよ」って教えてくれて。それで行ったらこんなところにあるわけないよなっていうところにドーンとあるから、もううれしくなっちゃって(笑)。

馬場 そうですね。ぼくも最近久々に行ったんですけど、どこだったっけ……って迷いながら右に曲がったら急に出てきて。

島田 馬場さん、「ブックオフ立地萌え」って言ってましたよね。

とみさわ ブックオフ立地萌えって、なんですか?

馬場 「こんなところにブックオフがある!」って、思わぬところにあるほど嬉しくなる気持ち。

島田 夢のような出会い(笑)。ぼく、それで事故りそうになったこともあります。

馬場 道の反対側に急に出現したりするから。

とみさわ それは急ブレーキ踏んじゃいますね。そんな話の流れで、各自「お気に入りの店舗」というのを聞いていきましょうか。

“ブックオフ嗅覚”を研ぎ澄ましてたどり着いた馬橋店

小国 ぼくは車の運転をしないので、どうしても駅から徒歩で行けるところが中心になります。その中で好きなのが大塚店(BOOKOFF 大塚駅前店)で、とにかく品揃えがいいんです。

とみさわ あそこは店舗としてはそう大きくないですよね?

小国 大きくはないんですけど、なんというか、どの棚もギュッとしている感じがあって。いつ行っても何かしら買うものがあるんです。あそこで手に入れたもので覚えているのは、ストルガツキー兄弟(タルコフスキーの映画『ストーカー』の原作などで知られるロシアのSF作家)の本を出してる群像社のSF本とか、山尾悠子さんの歌集とかがビックリするような値段で売られていて、そういうのをよく買っていました。

とみさわ そういった品揃えになるのは、何か理由があるんですかね? 駅から近いから商品の回転がいいとか……。そういえば、大塚は近くに彩図社とか日本評論社とか、出版社がいくつかあります。あと日本文学協会も。その辺が関係してるんでしょうか。

小国 出版社の人と大塚でご飯を食べると、必ずブックオフへ連れて行くんですよ。そうすると、皆さん自社の本を気にされて、「ウチの本が多い」と。言われてみれば「ここ、あの人(作家)が住んでたな」とか、出版関係の人があの辺は多いんですよ。

とみさわ 私の知り合いの編集者やライターでも大塚周辺に住んでる人がいます。

小国 だから、たぶんそれが集まってくると言ったら語弊がありますが、いい品揃えにはその辺も無関係ではないと思います。

島田 DVDとかもすごい揃ってたような記憶がありますね。

とみさわ 小国さんは、他にも馬橋店(BOOKOFF 6号松戸馬橋店)を好きな店舗として挙げられていましたね。

小国 20年くらい前で大学生のときなんですけど、まだネットも発達してない頃で、ブックオフがどこにあるかをネットでは探せないんですよ。だけど「こっち方面に行くとあるんじゃないか?」という“ブックオフ嗅覚”が研ぎ澄まされて、それで見つけたお店だったんですよ。

BOOKOFF 6号松戸馬橋店
BOOKOFF 6号松戸馬橋店

とみさわ ぼくはいま馬橋の住人だからわかりますが、あんなところ事前に知ってなかったら普通は行こうと思わない場所です。駅からちょっと歩かされるし、国道6号線の向こう側だし。

小国 でも、学生時代にはよくそういうことをやっていたんですよ。自分の定期券内にある駅で降りて、そこをシラミ潰しにブックオフを探していく。たいていは商店街の細くなった路地のようなところや、国道沿いにあるという印象があって、それで馬橋店も見つけた覚えがあるんですよね。それで、馬橋店はとなりがラーメン花月なんですけど、そこでまずラーメンを食べて、それからブックオフに行く。

島田 普通、逆じゃないですか?

小国 いや、やっぱり店に入る前に一回インターバルを置かないと(笑)。あの国道6号線を歩道橋で渡るあいだも、他のお客さんにいい本を抜かれるんじゃないかという不安がよぎったりするんですけど、そこはグッとこらえて、ラーメンを食べてから行く。

とみさわ 馬橋店はワンフロアですけれど、そこそこ広い店舗ですよね。

小国 そうです。けっこう活字の本もあって、コミックもあって。ぼくが思い入れのあるブックオフといったら、その2店舗ですかね。

“鶴”や“亀”がつくおめでたい名前の店舗

佐藤 いまのお話ともつながりますが、ぼくはブックオフそのものよりも、周辺の環境が大事だと思ってるんです。ブックオフの周辺に何があるか。それがブックオフにも反映されるわけじゃないですか。ブックオフに個性があるのではなくて、“街の個性がブックオフ”なんですよ。

とみさわ すごいこと言い切った(笑)!

佐藤 でも、そうでしょう? むしろ、ブックオフは個性がないのが長所だと思ってますから。

とみさわ そうですね。そこは私も共感します。

佐藤 だから、ぼくの場合はブックオフが好きというよりも、好きな街にあるブックオフが好きなんですよ。神奈川県なら、本牧という町が好きだから本牧のブックオフ(BOOKOFF 本牧宮原店)に行くんですよ。

島田 やっぱり本牧のブックオフには本牧の色って出るんですか?

佐藤 こちらの思い込みかもしれないけど、何かあるような気はしますね。あと、伊勢佐木町(BOOKOFF PLUS 横浜伊勢佐木モール店)とか。あそこもフロアが2階どころか4階まであるような店で。

とみさわ 伊勢佐木町って、こういう外壁(両手を合わすジェスチャー)の飾りがかっこいいですよね。

 BOOKOFF PLUS 横浜伊勢佐木モール店
BOOKOFF PLUS 横浜伊勢佐木モール店。この座談会で、ブックオフ社員から明かされたのだが、元はパチンコ店だったそう。

佐藤 あそこは4階まであって、フロアが高いのはやっぱり盛り上がるじゃないですか。ぼく、ブルース・リーとか好きなんで(笑)。

とみさわ 『死亡遊戯』で塔を登っていく感じですよね。

佐藤 鶴見店(BOOKOFF 鶴見駅西口店)も3階くらいまでありますね。あと神奈川だと、鶴ヶ峰(BOOKOFF 横浜鶴ヶ峰店)、小田急線の鶴間(BOOKOFF 大和西鶴間店)。なんか“鶴”が多い(笑)。

とみさわ おお!

佐藤 あ、鶴間にはもう1箇所、上鶴間(BOOKOFF PLUS 16号相模原上鶴間店)もある。「鶴」の文字が入る店舗は全国に7店舗のうち4店舗が神奈川県に集中している。さすが、ブックオフは神奈川県から始まっただけのことはあるなと思って、おめでたい気持ちになりました。

とみさわ 「鶴」が付く店舗を制覇したら、次は亀が付く店舗を訪ねて回らなきゃならなくなりますね。

佐藤 だから亀戸が気になってるんですよね。

とみさわ 亀戸には2店舗ありましたけど、そのうちの1店(BOOKOFF 亀戸南店)は閉店してしまいましたよね。あと亀有(BOOKOFF 亀有駅南口店)も無くなっちゃった。

佐藤 他に「亀」は京都(BOOKOFF 京都亀岡店)だけです。「亀」はなくしちゃだめですよー(笑)。

とみさわ それから渋谷店(BOOKOFF 渋谷センター街店)についても、佐藤さんはちょっとした話があるそうで。

佐藤 あそこはお気に入りとはちょっと違うんですが、クラブクアトロの下じゃないですか。2008年にクアトロの下がブックオフになったことにびっくりして、あのときに「渋谷系はついに終わったんだな」って。

島田 確実に時代は変わったかもしれないですね。

座談会を見守るよむよむ君

人生を救われた北烏山店

とみさわ では、次に島田さん。事前に伺っていたのは、大蔵多摩堤通り店(BOOKOFF PLUS 大蔵多摩堤通り店)と、先ほども出てきた北烏山店、それと高知高須店(BOOKOFF 高知高須店)でしたね。その中で私が気になったのは高知高須店。なぜいきなり高知高須なんですか?

島田 生まれが高知なんですよ。一年に一回、高知の室戸に帰って、室戸から高須って車で1時間15分かかるんですけど、その3 泊4 日滞在している間に2回くらいブックオフに行くんですね。で、300円くらい本を買って帰るという。

その高知高須店にはいい本がたくさんあって、高知全体から「知」が集まるような感じがするんですよ。ちくま文庫とかも普通の書店ばりにたくさん置いてあって、そこに行くと必ず何か買います。

とみさわ 本好きとしては、筑摩、岩波が多いとテンション上がりますよね。

島田 そうそう。店は普通なんですけど、なんだか品がいい。知の厚さを感じさせるブックオフ。たぶん20年くらい通ってるんじゃないですか。そこが忘れられない店。あと北烏山店は先ほど言ったように、もう行くと必ず何かが買える場所。何か嫌なことがあったら北烏山に行く(笑)。仕事がないときとか、ムシャクシャしたときとか。

佐藤 発散しに行くんですか。

島田 若いときの話ですよ。本当そういう暗い時期に、ブックオフには救われたんですよ、チャラチャラしてる奴もいないし。

とみさわ 仮にも書店ですから(笑)。

島田 新刊書店だと、いろんなタイプのお客さんがいるじゃないですか。でも烏山店には、若いときのぼくみたいな寄る辺ない人をホッとさせる空気がある。働いてる人たちも真面目だし、あと、けっこう長い間あそこは短冊型のCDを置いてたんですよ。

とみさわ 8cmCDですね。いまはわざわざあれを集めてる人も増えています。

島田 だから小沢健二さんの『ある光』とか、当時、プレミアついて8,000円くらいしてたのが、100円とかで買えたんですよ。人生しょうもないけど、ぼくはブックオフに救われたんです。

腕を組む島田さん

とみさわ 人生のつじつまが合う感じ。

島田 そうそう。それは北烏山店も大蔵多摩堤通り店も同じ。すっごい坂を下って行くんです、世田谷から。心臓破りの坂みたいな。

馬場 ああ、あります。

島田 成城には絶対に足を踏み入れないでください!という感じの坂なんですけど(笑)。

セット漫画を大人買いできる幡ヶ谷店

とみさわ 馬場さんは、幡ヶ谷(BOOKOFF 幡ヶ谷6号通店)、三茶(BOOKOFF 246三軒茶屋店)、新宿西口(BOOKOFF 新宿駅西口店)といったあたりを挙げておられますが、Twitterを見てると、幡ヶ谷店は毎週行ってるような気がします。

馬場 毎週行ってますねえ。行かないとソワソワしてきて。今日行ってないなあって思うと、次の日の朝には行ったりして。棚の変化を確認しないと落ち着かない。

 BOOKOFF 幡ヶ谷6号通店の外観
BOOKOFF 幡ヶ谷6号通店

とみさわ 毎週行ってたら、棚なんてそんなに変わらないんじゃないですか?

馬場 変わん……ないですね(笑)。変わんないけど、変わってないことを確認しに行くんです。それに毎週行ってると、やっぱりちょっと変わるとすぐ気づくので、それが楽しいんです。大幅に入れ替えたぞとか、画集が減ってるなあとか、おっ大量入荷があったのかな? とか。

島田 コミックの並びのところとか、いいですよねえ。

馬場 そうそう。左側にBLとか、A5サイズの漫画本があって、反対側に大判の画集とかムック本とかがあって。

島田 児童書のところなんかもいい。

馬場 ああ、いいですねえ。あそこ児童書が多いんですよ。いちばん上に新書サイズの児童書がズラーっと並んでいて、下に絵本とか並んでる。

そういえば、一昨年くらいに島田さんと幡ヶ谷店の近くにあるモンゴル料理屋で飲んだことがあって、待ち合わせの時間よりちょっと早く着いたからブックオフに行ったら、島田さんもいて。で、もう一人飲む予定だった人も来ていて、結局ブックオフに3人全員集まっちゃったという。

とみさわ ブックオフで待ち合わせればよかったじゃないですか(笑)。

馬場 しかも飲んだ帰りにも行った気がする。それで、酔っ払うとセット漫画を買いたくなるという。

島田 ぼく、あれ買ったんですよ。諸星大二郎の『西遊妖猿伝』全10巻セット。

とみさわ 全10巻って、飲んだ帰りに? 徒歩で帰るのに?

馬場 あのとき一緒に飲んでたもう一人は全28巻ある『がんばれ元気』を買ってましたよ!

ほろ酔いのみんなでいっぱい買って帰った記憶があります。

とみさわ バカだなー(笑)。

島田 幡ヶ谷店は、セット漫画がいいんですよ。新しいのだけじゃなくて、古いやつもけっこうあるから。

馬場 レジ前に積んであってね。

やまびこ鳴り響く富士吉田店

とみさわ では、この話の流れで、私の好きな店のこともお話ししておきましょう。私はブックオフ全店舗の標高をチェックしてるわけですが、日本でいちばん高い場所にあるブックオフに行きたいと思って、調べたら富士吉田店(BOOKOFF 富士吉田店・標高821.92m)だったんですね。

それで、高速道路を河口湖インターで降りて、バイパス抜けて国道137号に入ってグーっと坂を上がって行くと、道の上のほうにあの赤青黄の建物が見えてくるんですよ。

一同 ふふふふふ。

BOOKOFF 富士吉田店の外観
BOOKOFF 富士吉田店

とみさわ で、そのブックオフ越しに富士急ハイランドの大観覧車が見えてくるのが、とにかく最高だったんですよ。場所柄かお客さんも少なめで、静かないい感じでした。そんな中で、有名な店員さんの「いらっしゃいませ、こんにちは~!」のやまびこ(※1)が鳴り響くんですけど、標高が高いせいか遠くまで聞こえてるような感じがしました。

※1「やまびこ」
ブックオフの店舗で「いらっしゃいませ! こんにちは』と店員が連鎖する様子のこと。活気ある店内にする他、お客さんに店員の場所を知ってもらう、防犯になる、などの役目もある

佐藤 空気が澄んでるから(笑)。

とみさわ なかなか思い出深い店でしたね。

島田 遠くのブックオフ、行ってみたいなー。

小国 行ってみたいっすねえ。

いまいちばんイケてるブックオフは?

小国 ブックオフへ行くといっても、ぼくはいま大塚とか御徒町(BOOKOFF PLUS 上野広小路店)とか、仕事帰りに通勤経路上の店舗に寄るくらいなんですね。休日も仕事で、遠くのブックオフへ行くようなこともなくなっちゃったし。それで、皆さんからオススメの店舗を教えてもらって、そこへ行ってみたいんです。

馬場 ぼくがいちばん行ってるのは幡ヶ谷店なんですけど、回転が早くてフロアごとにジャンルが全然違っていて、ノリに乗ってる感じがするのは新宿西口店(BOOKOFF 新宿駅西口店)かな。東口店(BOOKOFF 新宿駅東口店)が無くなったから、おそらくそちらの在庫もひとつにまとめたんじゃないかと思うし。新宿西口店は3フロアもあってノッてるんじゃないかと思います。

島田 あそこ、エレベーターで飲み屋のお客さんと一緒になるじゃないですか。あれがちょっとツライんですよね。

馬場 7、8階が居酒屋フロアなんですよね。

とみさわ さらに言うと、飲み屋で飲んだ帰りのお客さんと、ブックオフの袋を手に提げたお客さんとが、1階のスーツ屋の中を通るじゃないですか。

小国 そうそう、あれはスーツ屋の店員さんたち、嫌だろうなあ、っていつも思います(笑)。

島田 秋葉原店(BOOKOFF 秋葉原駅前店)もいいですよね。この間初めてちゃんと入ったらすっごい品揃えがよかった。

馬場 漫画のセット売りとかすごい量がありますよね。

とみさわ 場所柄、漫画の回転もいいんじゃないですか。

島田 素晴らしいですよ。この前、探してた本も秋葉原で買えたんで。これから必ず秋葉原は定期的に行こうと思ってます。

座談会の様子

1,2回行っただけでは良さがわからない?

島田 最近、ブックオフの買取専門店(BOOKOFF 総合買取窓口)が増えてるでしょう? あれ勘違いするからやめてほしい。

一同 あはははは。

佐藤 たしかにあれは勘違いする。Googleマップで検索すると出てくるじゃないですか。間違えて行っちゃうんですよ。

とみさわ 買取りカウンターだけならいいんですけど、売り物の本も少しだけあるんですよね。私は今年の6月に、最近都内に新設されたところを全部回りました。一応、全店制覇を目指してる立場として、これも行っとかなきゃダメかなと思って。自分が買いたいような本は無いこともわかってるんですけど、これを踏破しておけば一気に7店舗くらい稼げるぞと(笑)。

小国 わははは、すごいなあ。

島田 ぼくは地元が経堂なんで、「ブックオフ新規OPEN!」っていう情報を目にしたとき、こんな嬉しいことがあるかと思ったんですけど。そしたら買取専門の窓口で「うわぁ……」みたいな。

小国 それはショックだ。

島田 待ちに待った地元のブックオフがやっとできる! と思ったのに。代々木上原にもありますね。

とみさわ 経堂、代々木上原の他には、用賀、恵比寿、中目黒、広尾にもあります。

馬場 それと下北沢。

シモキタはけっこういい本あるんですよ。右側に棚があるだけなんだけど、けっこういいセンの本があります。ガイブン(外国文学)はあるし。

小国 へえ。そこも買取窓口なんですか?

馬場 そうなんですよ。昨日、そこで250円で買った可愛い本があって(と、現物を取り出す)。

島田 それ誰の本なんですか?

馬場 これね、ミスター・クレメント(※2)というロンドンのアーティストで、セリフのない4コマ漫画みたいなもので。

小国 それはいいですねえ。

ミスター・クレメントの本

※2「ミスター・クレメント」
香港生まれ、ロンドン在住のアーティスト。シンプルな描線で可愛らしいキャラクターを創造する

馬場 香港出身でロンドン在住のアーティストだということはあとで知ったんですけど、何にも知らずに買ったんですよ。ブックオフって、そういう自分に知識がなくても、買えるものがいっぱいあるんですよ。それはやっぱり安いから。

とみさわ そうですね。とりあえず買ってしまえ、ということができる。

馬場 幅広い品揃えなので、そういう思わぬ発見があるっていうのがいいところだなあと思って。

島田 武田砂鉄さん(※3)とトークイベントで話したときも、結論は「本当の多様性はブックオフにある」って言っていて。

※3「武田砂鉄」
ライター、ラジオパーソナリティー。『ブックオフ大学ぶらぶら学部』の執筆陣の一人でもある

小国 買い取った本をなんでも店に出すっていうのは大事ですよね。

馬場 そう思います。

島田 トークイベントでそういうことを話していて、なるほどなと思ったのは、「ブックオフは、行った回数に応えてくれる」っていうね。

とみさわ ブックオフが?

島田 極論すれば、もうブックオフに良い店も悪い店もない。行けば必ずブックオフは応えてくれる。それを良い店とか悪い店とか言ってるのは、ブックオフに対して愛情が足りない。

一同 わははは。

とみさわ たしかに、1、2回行ったくらいじゃ、ブックオフのことはわからないですよね。

座談会の様子

意識朦朧とするまで巡る?

とみさわ 馬場さんは、ブックオフ巡りで日本半周旅行をしたことがあるそうですね。その話は後で詳しく聞かせていただくとして、皆さんブックオフ巡りをするとき、1日に何軒くらい回れますか?

馬場 その旅行のときは最高で15軒くらいでした。平均すれば10軒くらい。でも、普段も都内を15軒くらい回ったことありますよ。

佐藤 都内だったら1日でそんなに回る理由なくないですか?

馬場 そうなんだけど、いっぱい回って、いっぱい本を見たかったんですよ。

とみさわ 都内は店の数も多いから、バイクとか使えば可能だとは思います。

佐藤 ぼくは、せいぜい4~5軒くらいですかね。

島田 ぼく、8軒ですね。

小国 八王子に一緒に行ったときって、あれ何軒くらい回ったんですかね?

島田 6軒……かな(※3)。たしかそれくらいのはずです。

※3「6軒」
当時、島田さんがどの店舗を回ったのか正確にはわかりませんが、現在、八王子市には「BOOKOFF 八王子大和田店」「BOOKOFF 20号西八王子店」「BOOKOFF 八王子堀之内店」「BOOKOFF 八王子駅北口店」「BOOKOFF 八王子めじろ台店」「BOOKOFF SUPER BAZAAR 八王子みなみ野店」の6店舗が存在します

佐藤 そんなに回ったら荷物が重くなるじゃないですか。

島田 小国さん、スーツケースを持ってきてましたよね。

一同 わははは。

笑いが絶えない座談会の様子

とみさわ 私は最高でも10軒ですね。ブックオフに行ったら外観を写真に撮るようにしてるんですけど、8軒を越えたあたりから日が暮れてきちゃうんですよ。なるべく明るい状態で写真を撮りたいので、8軒くらいで止めておくようにしています。もちろん、何度も行ってる店舗(=すでに写真を撮影済み)はその限りではありませんけど。

島田 8軒目とかになると朦朧としてきませんか?  そんなことないですか?  ちょっと集中して見れなくなってくる。

馬場 あー、なります。朦朧としてきます。

小国 もう「本ってなんだろう」みたいな(笑)。

島田 後半はもう、惰性で見てるだけみたいになりますよね。

馬場 ぼくは10軒とか15軒とか行くのが当たり前になっちゃったんで、うちの書店のお客様に「○○の本を探してるんです」って言われても、比較的みつけやすい本だと平気で「そんなのブックオフ10軒くらい回ればありますよ」って言っちゃうんですよ。

一同 わははは!

馬場 「えっ、そんなに回れないですよ」と言われても「いや、ぼくは回ってましたけどねえ」って言って、お客さんに嫌な顔されたりして

小国 一般の方は意外とそういう普通の本を探してるんですよね。

馬場 そう「宮部みゆきの……」とか「赤川次郎……」とか言われても、うちの古書店にはないんですよ。でもブックオフには絶対あるってわかるから、「それならブックオフさん10軒くらい回れば、たぶん7~8軒目で見つかりますよ」ってアドバイスします。

とみさわ 全然アドバイスになってない(笑)。

馬場さんにツッコむとみさわさん

TEXT:とみさわ昭仁
PHOTO:宇佐美亮・とみさわ昭仁

最後までお読みいただきありがとうございました!この座談会の後編もあるので、ぜひご覧ください。

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