ブックオフが好きすぎる人々による座談会を開催! 今回は「日本半周ブックオフ旅行」や、連日ブックオフに通いつめる人々ならではの「ブックオフあるある」、「直営店とフランチャイズ店の判別法」、「ブックオフ社員への質問コーナー」など、ボリュームたっぷりでお送りします。

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【参加者の皆さん(左から)】
島田潤一郎さん
企画立案から編集、営業まで出版に関わる作業のすべてを自分自身で行うひとり出版社「夏葉社」代表。

小国貴司さん
新刊書店「リブロ」勤務を経て、現在は駒込で古書と新刊のセレクト書店「BOOKS青いカバ」店主。

とみさわ昭仁
ブックオフ全国565店舗をめぐり、「日本一ブックオフに行く男」の異名を持つライターで、プロコレクター。本企画では司会を担当。

佐藤晋さん
落語、演芸、演劇、その周縁文化に関する本を中心に扱うネット古書店「ドジブックス」店主。

馬場幸治さん
古本販売のほか、ときには店内で音楽ライブなども行われる下北沢の名物書店「古書ビビビ」店主。

ブックオフの思い出

とみさわ まずは、ブックオフでの思い出を話していただければと思います。事前アンケートを見ると、小国さんにはBOOKOFF 原宿店のエピソードがあるそうで……。

小国 リョサ(マリオ・バルガス=リョサ)の『世界終末戦争』という非常に分厚い本があるんですけど、いまはなき原宿店で、復刊前のそれがカートに乗っているのを見つけまして。

とみさわ カートっていうのは、本棚へ品出しする前の商品を乗せてある赤いカートですね。

小国 それで、貼られていた値札シールを見ると100円だったんです。付近にいた店員さんに買ってもいいか聞いたら「あ、いいですよ」みたいな感じで手渡してくれて。もう、こっちとしては「それやっぱり値段違いました!」って言われたら困るんで、素早く会計を済ませて、そそくさと立ち去るんですけど、そのときに背後で店員さん同士が「こんな分厚いの、売れるんだね!」って話してるのが聞こえてきて……。

楽しそうに話す小国さん

とみさわ 店員さんの気持ちもなんとなくわかりますけどね。ごく普通の方からすれば「こんなの誰が読むんだろう」って思いますよ。

小国 そうなんですよ。でも、こっちは「そりゃ売れるよ! だって100円だぞ!」って心の中でつぶやいて。リョサがまだノーベル文学賞を獲る前で、新潮の世界文学のシリーズだったんですけど。

とみさわ 復刊されたやつだって3,000円から4,000円くらいはしてますよね。

小国 そうなんです。それは原宿店でいちばん嬉しかった思い出ですね。

とみさわ 佐藤さんは何かブックオフの思い出ってありますか?

佐藤 えーと、ぼくはこんな物を持ってきました。たしかクジ引きか何かで当たったと思うんですけど、ブックオフのブックカバー。これをしばらく使ってたんです。

ブックオフのブックカバーを見せる佐藤さん

とみさわ いまは使ってないんですか?

佐藤 いまはもう本は裸のまま持ち歩くようにしてるんで。昔バイトをしてたとき、読んでる本にこのブックカバーを付けてズボンの尻ポケットに入れていたんですね。それで、携帯電話なんかなかった時代ですから、昼休みにはこの文庫本だけ持って休憩に行って、ご飯食べながら読んで、また仕事場に戻るっていう。で、これビニールだから雨に強いんですよ。この栞のヒモは1回取れちゃったのを、セメダインで付け直して使ったりしてました。

とみさわ その栞のヒモの先ってよむよむ君の形をしてるんですよね。

ブックカバーの栞の紐についているよむよむ君

島田 あー、ホントだ。

とみさわ なぜ知ってるかというと、私も同じものを持っていたから(笑)。ネットオークションで清水国明さんのサイン入りのを見つけて、速攻で落札しました。しばらく大事にしてたんですけど、マニタ書房を閉店するときに引っ越しのどさくさで紛失しちゃいました。

佐藤 あともう一つは、Tカードです(と言って、ブックオフのTポイントカードを取り出す)。いまはブックオフではTポイントを取り扱ってませんが、昔は使えたんですよ。

馬場 ぼくも持ってます(と、隣の馬場さんも取り出す)。

Tカードを見せ合う佐藤さんと馬場さん
お二人が持っていたTカード。残念ながら、現在ブックオフでは使用できません。

一同 わははは!

馬場 Tカードとしてはまだ使えるんで、薬局とかでこれを出すと一瞬「ん? ブックオフ?」って顔されますね(笑)。

気になる幡ヶ谷店の二人

とみさわ では、次に島田さん。馬場さんお気に入りの幡ヶ谷店は、島田さんもずいぶん通っていたそうですけど、そこでのいい話があるそうで。

島田 はい。以前、幡ヶ谷店にすごく感じのいい男性店員さんがいたの、馬場さんも知ってますよね?

馬場 知ってます。

島田 その他に、やはり感じのいい女性店員さんもいて、ある日確信したんですよ。「この人たち入籍したな(※)」って

一同 ええーっ!?

とみさわ 以前から「この二人は付き合ってるんじゃないか」とか、そういう雰囲気があったんですか?

島田 それはもう働き方が阿吽の呼吸だったし、二人とも接客はいいし、ブックオフに対して愛のある仕事ぶりを見せてましたから。

馬場 ああ、そうですね。

とみさわ そうですね、って馬場さんにも伝わってたんだ(笑)。

島田 他の店員さんはまあ普通の働きぶりなんだけど、あの二人だけは明らかに違ってた。

佐藤 それは本人に確認したんですか?

島田 確認はしてないけど、たしか、どちらかが急に結婚指輪をはめていたんですよ。

馬場 そこまで見てるんだ(笑)。

島田 あれ? あの人、結婚指輪してるぞ。ということは、あっちも……って見たら、やっぱりしていて。

一同 わはははは!

佐藤 名札は? 名札は?

とみさわ あっ、苗字が変わってるかどうか?

島田 そこまでは見なかったけど、本当にその二人からはブックオフをいい店にしようっていう姿勢が伝わってきたんですよ。棚の整理もすごいちゃんとやってたし、もう大好きだったんです。お店よりもその二人が好きなくらいで。結婚して、ああよかったなって、思って。でも、もういないんですよねあの二人。

馬場 そうなんです。半年前くらいから見かけなくなって。どうしたのかなー。

※注
編集部で確認したところ、元幡ヶ谷店のお二人がご結婚されていたのは本当でした。

笑っている島田さんと小国さん

10日間にも及ぶブックオフ日本半周ツアー

とみさわ 馬場さんの日本半周旅行の話をぜひ聞かせてください。

馬場 20代のまだ大学生で、ぼくが自分の店を始める前に古本屋でアルバイトしていた時代の話なんですけど。夏休みに暇だったんで、同級生と二人で日本半周ブックオフ旅行の計画を立てて。

とみさわ 日本半周ということは車で?

馬場 はい。新潟あたりから広島まで行って、四国もぐるりと回って。

とみさわ かなり広範囲ですね。

馬場 けっこう行き当たりばったりで。夜はファミレスで「明日はどこのブックオフを攻めようか」って、友達と地図を見ながら相談して。その地図もブックオフで買ったやつなんだけど(笑)

とみさわ その頃はもうインターネットはありましたか? つまり、次に行くべきブックオフをどうやって調べたのか。

馬場 どうやって調べたかな。ブックオフのホームページで店舗の住所だけ書き出して、「5の2の2はどこだ?」なんてやってた覚えがあります。あと古着屋も好きだったので、途中にある古着屋も行こうって地図に点を付けて、こういうふうに行こうと線を書いて。

とみさわ 攻略ルートをね。私もマップを作って巡ったことがありますよ。

札幌市内のブックオフの位置を記した地図
2012年にとみさわが札幌市内の21店舗を巡ったときのルートマップ。こういうのを作るのがまた楽しい。

馬場 ルートはこうこうで、終わるのがこの時間だから、そのまま寝ないで次の県に移動。早朝に着いたら軽く車中泊して、開店時間からブックオフ回るっていう。あと、夜はブックオフ会議で。

とみさわ ブックオフ会議って、どんなことやるんですか?

馬場 翌日の作戦会議もそうですが、あとはその日の戦利品の見せ合いですね。旅行のときはだいたい1日に50~60冊は買うので、ズラーっと並べて「こんないい本、買ったよ」とか見せ合って。

島田 欲しい本がカブったりしないんですか?

馬場 カブりますねえ。だからたまに取り合いになるときもありますが、いちおう譲り合って。「この分野を本気で好きなのは俺だから」とか「これ君が好きなやつだから、いいよいいよ」なんて。

島田 ケンカになりませんか?

とみさわ 同じ趣味の仲間とマニアショップに行ってはいけない、と言いますよね。

馬場 でも、ぼくが運転してる間、相棒は寝てたりするから、ぼくの方が立場がちょっと上なんです(笑)。

当時を思い出す馬場さん
運転している分、相棒よりちょっと立場が上だった馬場さん

島田 ブックオフって、夜11時くらいまで開いてる店もあるじゃないですか。

馬場 そう、昔は12時くらいまで開いてる店もけっこうありました。閉店時間をちゃんとメモっておかないと、ルート計算でしくじるんでね。閉店時間が早い店から回っていって、12時閉店の店を最後に持ってくるようにする。明日はまずここを攻めて、次にこっちへ行って……と、そういうことを考えるのは店に行くより楽しかったです。

とみさわ それで、毎日10軒~15軒くらい回っていくわけですか。

馬場 それくらい当たり前のように行ってました。

佐藤 1店舗あたりの所要時間は?

馬場 30分くらいですかね。まあ、午前10時から夜12時まであればイケるでしょう。食事する時間も惜しいから、コンビニでおにぎり買って、運転しながら済ませちゃう。

島田 すごいな、15軒も回る体力っていうか、精神力がすごい

小国 しかも、それ1日では終わらないんですよね?

馬場 ツアーは10日間あるんで。四国のブックオフを回ったときは、風呂へ行くかわりに四万十川で身体を洗ったりして。

島田 そういう若者は将来有望な感じがしますね。

佐藤 ホントですか(笑)?

馬場 でも、やっといてよかったと思いますよ。いま考えると四国でね、おいしいものいっぱい食べておけばよかったなとも思うんですけど、そんなおいしいもの食うお金があるんだったらブックオフで本を買うほうがいいって、その頃は本気で思っていたので。

島田 そうですね、その気持ちはわかる。

一同 (うなずいている)

島田 この2~3年くらい、ぼくも馬場さんと小国さんと車でブックオフを回る旅をしてるんですけど、そのときでも回ったのは5軒くらいですかね。

小国 いや、もうちょっと回ってるけど、ただ、それが10日も続くと思うとキツイですね。1日だからできるんであって。

島田 ぼくも1日でもけっこう疲れたな。

馬場 気持ちは疲れてないんですけど、2~3回めまいがした。

とみさわ 疲れてるじゃないですか(笑)。

馬場さんにツッコむとみさわさん

ブックオフあるある

とみさわ 次は「ブックオフあるある」です。これについては、事前アンケートから、いくつかをピックアップしていきます。まずは小国さん。「音楽を聴きながらだと、喉元まで『いらっしゃいませー!』と出かかる」。これはどういうことですか?

小国 いまはあんまりやりませんが、新刊書店で働いていたときの癖ですね。松戸の書店で働いていたんですけど、その店って万引きがとても多かったんですよ。だから、お客さんが入ってきたらまず見て、「普通のお客さんか、万引きしに来た人なのか」を見極める。それで「いらっしゃいませ~」って声をかける。

とみさわ 目を見て話しかけられた人は万引きをしづらくなる、という話は聞いたことがあります。

小国 そのため、反射的に「いらっしゃいませ~」って言う身体になってるんです。それで、勤め先の書店での仕事を終えて、帰りに松戸のブックオフに寄ったりすると……。

とみさわ ああ、書店員モードとお客さんモードが切り替わらないんだ。

小国 そう。イヤフォンを付けてさえいなければ大丈夫なんです。周囲の音が聴こえるし。でも、イヤフォンして周囲の音が遮断されていると、もう「本」と「音楽」で世界が閉じてしまって、そんなとき隣に立ってる店員さんが「いらっしゃいませ~!」って言うと、つられて自分も「いらっ……」って喉元まで出かかるんです。何度もそうなってる。

とみさわ 言いきっちゃったことはないんですか?

小国 一度だけあります(笑)。

座談会の様子

とみさわ 馬場さんもお店をやってますけど、ブックオフに行ったときにやっちゃいませんか?

馬場 うーん、ぼくはないですねえ。

佐藤 自分の店では「いらっしゃいませ~」って言うんでしょう?

馬場 そういえば店では言ってるなあ(笑)。でも、ブックオフで間違えて言っちゃうことはない。もう本を見るのに集中してるんで、店員さんの声も耳に入ってこない。あ、でも、棚を直しちゃうことはあります。

一同 それはあるあるある(笑)。

馬場 棚差しから抜き出してその辺に放り出してあるやつとか、逆向きに差してあるとか、棚が荒れてんなあ~と思うと直しちゃうんですよ。

島田 それはぼくもやっちゃいますねえ。

佐藤 100円コーナーに違う値段の本が混じってると、出しておきますよ。

馬場 店員さんが見たら「あ、違うな」ってわかるように。

とみさわ 誰かがあとで買おうとして隠したやつとかね。

島田 それは戻しますよ。

棚の分類の不思議

とみさわ もうひとつ小国さんのあるあるで「店員さんのOJTに耳を澄ます」。OJTとはOn The Job Trainingの略で、ようするに新人教育のことですね。

小国 けっこうちゃんと教えていることもあれば、わりと雑だなーみたいなときもあって(笑)。いままで聞いた中ですごい雑だなって思ったのは、講談社学術文庫とか、文庫の学術系って一箇所に固めるじゃないですか。それを新人さんが「なんで固めるんですか?」って質問していて。

とみさわ まあ、素直な疑問ですよね。

小国 それに対して「これはちょっと知的なやつだから固めるんだよ」って、すごい雑な返答をしていて(笑)。

とみさわ 多分、説明してる先輩もそんなによくわかってないのかもしれないですね。

島田 でも、OJTはつい聞いてしまいますよ。

佐藤 ぼくが立ち聞きしたのだと、なんか「パラパラっと見て、古いなと思ったら時代小説の棚ね」って言ってました。

ブックオフについて話す佐藤さん

一同 わはははは!

島田 ああ、でも、時代小説の定義ってわからないですもんね。

小国 ときどき「これはどう考えても時代小説じゃないだろう」っていうのが棚に混ざってたりしますよ。

島田 山田風太郎とか、どっちにも入ってたりしません?

佐藤 小説じゃないものが混じってたりしますよね。雑学系の。

とみさわ ジャンルが微妙な本ってありますね。

島田 ノンフィクション、エッセイ系の新潮文庫、文春文庫とか、あれどうしてるんだろうっていつも思いますよ。

佐藤 そうそうそう。

島田 柳井さん(柳井正、ユニクロ創業者)の本なんかは、作家別のヤ行に入らずに、新潮文庫を固めてあるコーナーへ行くじゃないですか。それはオペレーションとしてどうやってるのか。

小国 この間ね、新書をジャンルごとに分類してる店があったんですよ。

佐藤 たまにそういう店ありますね。細かく分けてるの。

小国 でも、これはちょっと探しづらいぞって思ってると、半年後とかにまた元に戻ったりするんです。

ストッカーにある宝物

とみさわ 馬場さんの挙げてくださったあるあるで気になったのが「長編漫画の後半だけが通常価格でまとめて売られていて、もしかしてここにない前半部分が100円コーナーにあるんじゃないか? と思って100円コーナーに行ったらビンゴで、全巻一気に揃いがち」

小国 いい話ですね。

馬場 そういうことがよくあるんですよ。

とみさわ 私も同じようなことがあって、たとえばある店に行って、棚を見てたらちょっと珍しい本が100円コーナーにある。そういうときはいつもより丁寧に棚を見るんです。そうすると同じ傾向のレアな本が出てくる。漫画なんかに顕著で、その分野のコレクターがまとめて処分したんでしょうね。

小国 そういうときストッカー(※)はどうするんですか?

※注「ストッカー」
本棚の下にある引き出しのこと。上の本棚の在庫などを保管している。

とみさわ 私は見ないですねえ。

馬場 店によっては怒られますよね。

小国 でも、最近はストッカーも解禁してる店は多いですよ。

馬場 正月はストッカー開けてセールの紙が貼ってあったりしますね。

小国 ぼくもさすがに自分から開けることはしないんですが、この作家のこの本はストックにないですか? って聞くことはあります。

馬場 一度、どこかのブックオフで開けちゃったら、『フォアレディース』っていう1970年代の宇野亜喜良が挿画をやってる正方形のシリーズがあって、どうしようかなと思ったけど、レジに持っていって買っちゃいました。申し訳ないなあと思いながらも。

島田 一時期あれ高かったですよね。

馬場 そう、2,000~3,000円するやつが100円で買えたんで。

ブックオフについて話す馬場さん

小国 古き良き時代(笑)。

せどらー vs 目利きのブックオフ通

とみさわ 佐藤さんのあるあるで、「ビームセドリ(※)がいたら川下の棚を見て、価値のありそうな本を片っ端から抜く」

一同 わははは。

※注「ビームセドリ」
赤外線ビームでバーコードを読み取り、ネットで高く売れる本だけを抜き出してセドリ(転売行為)をする人たちのこと。

とみさわ 川下問題ってありますよね。いや、砂金採りで考えたら川下じゃなくて川上なのかな?

佐藤 ともかく、左から右に向かって見ていく人がいたら、先に右側へ行って、どんどん抜いちゃう。わかんなくても抜いちゃう。「あっ」とか声出して、いかにもいい本を見つけたフリして。

小国 俺は逆です。ビームセドラーがすでに見終えた棚にあえて行って「おわー!?」とか言って抜く

島田 ひどい(笑)。

小国 そのほうがショックが大きいでしょ。

馬場 それ純粋に嫌がらせじゃないですか。

島田 皆さん、ビームセドラーってどう感じてますか? 好き? 嫌い?

佐藤 好き嫌いというか、挑戦してみたくなるんですよ。こっちのほうがわかってるぞ、って。

とみさわ 私がたまにやるのは、ビームで見てる人がいたら、その横で本棚の前に仁王立ちして、背表紙だけ見つめてスパッ、スパッと本を何冊も抜いていく。すると「ええっ?」って二度見されるんですね。あいつ何を頼りに抜いてるんだ? って。

馬場 ぼくも似たようなことをするんですけど、たぶん向こうは何とも思ってないでしょう。

とみさわ でしょうね(笑)。

馬場 自分の中では、「ほらほら抜いちゃうよ」って感じなんですけど、相手は一切こっちのことなんか見てない。気にもしてない。

とみさわ 彼らが狙ってる本と、ぼくらが狙ってる本は全然違うんですよね。あちらはビジネス書とかを中心に狙ってるようだし。

小国 いつかその彼らが見た棚から、◯万円(市場相場)とか付いてるようなやつを抜いて、その人に差し出してみたいんですよ。「これを調べてみなさい」とか言って。

とみさわ 何者なんですか(笑)。

座談会の様子

トイレに行かないと本選びに集中できない?

とみさわ 島田さんのあるあるは、「ブックオフへ入る前に必ずトイレに行く」だそうですが。

島田 トイレは重要ですよね。

馬場 新宿西口店は6階にトイレがあるんで、必ずそこで用を足してから回るようにしてます。

とみさわ 小さめの店舗だとトイレを設けるスペースが確保できないでしょう。とくに都内だと。

島田 北烏山店は奥にあって、下手すると顔洗いますもんね。

馬場 気合い入れて(笑)。

島田 で、タオル持ってないし、ティッシュペーパーで顔拭いて。

佐藤 トイレを借りるほどブックオフに長時間いるっていうことですよね?

島田 うーん、まあ、でもぼく15分くらいですけどね。

佐藤 なら我慢すればいいじゃないですか(笑)。

島田 残尿感というか、我慢してると集中力がなくなるんですよ。
あと、判断を誤るっていうのもある。そういうことあるじゃないですか。本当は買ほどでもなかった本を買っちゃう、みたいな。

馬場 ありますね。

島田 なぜか浮かれてしまうときってないですか? なんか4~5冊いいのがあって、ついつい買っちゃうときが。

佐藤 あります、あります。

馬場 最高にいいのを1冊買うと、それでテンション上がって、さらにポンポン買っちゃうことはあります。

島田 野球で言うところの、ボール球もバンバン振っちゃうみたいな(笑)。

馬場 ここ(最初の1冊)で得したから、少し散財してもいいだろうっていう。

島田 そういうのをなるべく無くそうっていう気持ちがあるから、トイレに行くんです。浮かれたらダメ。やっぱりハズレの日もあるし、たとえ100円でも無理して買うことはしない

とみさわ 私も地方のブックオフを1日に8軒くらい回ることをよくやるんですけど、地方のブックオフってだいたいトイレ付いてますよね。

馬場 ありますね。

とみさわ そうすると「トイレはいつでも行ける」って思うんだけど、いざトイレに行きたくなったとき、その店舗にはトイレがなかったりして。だから、トイレは行けるときに行っとけ、って考えるようにしています。

島田 ぼくはジュースをよく飲むんです。ブックオフは店頭にだいたい自販機があるでしょう。ジュースとか缶コーヒーとか、すごく買います。

とみさわ それじゃトイレが近いわけだ(笑)。

島田 あとあそこ、永山のでっかい店(BOOKOFF SUPER BAZAAR 多摩永山店)、知りません? あそこに行くとセブンティーンアイスを食べますね。

ブックオフについて話す島田さん

とみさわ 多摩永山店は、シャトルバスがあるんですよ。

小国 へえ~、すごい。

とみさわ それに乗るためだけに行ったことありますよ。ブックオフマニアとしては、いちおう乗っとかないとダメかなと思って(笑)。

小国 シャトルバスがあるって、すごいですね。

馬場 テーマパークみたいだ。

ブックオフ社員にこれだけは聞きたい!

とみさわ 今日はブックオフから保坂さん、小金井さんのお二方が来てますので、この機会に我々の方から聞いてみたいことをぶつけてみましょう。

ブックオフ社員の保坂さんと小金井さん

【ブックオフ社員(左から)】
保坂良輔さん
ブックオフコーポレーション株式会社執行役員 兼 仙台支社長。

小金井真吾さん
ブックオフグループホールディングス株式会社社長付執行役員 事業開発担当。

とみさわ 小国さんは事前アンケートに「バーコード(※)のない稀覯本は捨てますか? 捨てるならぼくが買えませんか?」と書かれていました。

※注「バーコード」
本の裏表紙に印刷されているバーコードは、正しくは「書籍JANコード」と呼ばれるもので、1990年に導入された。このバーコードの有無をその本の「新しさ/古さ」の基準として、ブックオフではバーコードの無い(=古い)本の買取をしないという「噂」がある。

小国 そう、バーコードがないという理由で捨てるものがあるなら、とりあえず見に行きたいです。皆さんも行きますよね?

一同 行きます、行きます。

馬場 どこかにそういうのを貯めている倉庫があるんじゃないかと妄想したりして、いつかはブックオフ・ビンテージ館とか作ってほしい。

とみさわ もしも、そういう倉庫があるんだったら、鉄道拾得物の「忘れ物市」みたいなことをやってほしいですね。

島田 それ最高じゃないですか。

とみさわ 我々はいきなりブックオフさんが答えにくいことを聞いてる気がしますが(笑)。

小国 長野、山梨くらいだったら行きますよ。

保坂 本の買取基準には、「きれいか汚いか」などいくつかありますが、わかりやすい指標のひとつが「バーコードの有無」です。全国で毎日どれくらいお売りいただいているかは把握できていません。お店の裁量も大きいので、もしかしたら店長によってはバーコードがない本でも買い取って店頭に出すことはあるでしょう。

小国 そうかー。ここ10年くらい、講談社がコミックでバーコードをやめたじゃないですか。あれって買取するの大変ですよね。

馬場 あれね、バーコードでピッて読み取れないから、ブックオフではどうしてるんだろうと思ってました。

とみさわ それ知りませんでした。講談社はカバー裏のバーコードをやめちゃったんですか?

馬場 カバーに印刷しないで、シュリンク(本を覆っているフィルム)にバーコードが貼ってあるんです。

保坂 でも、今後はやり方は変わってくると思うんですよね。「忘れ物市」のようなことも、いつかはやってみたいですよ。

小金井 実際、バーコードはEC(e-commerce=インターネット通販)用に発行してるんですよ。いままではバーコード無しの本は処分したりしてました。

でもその中から価値ある本をすくい上げてデータを登録して、バーコードを発行して、ECで販売していくという可能性はありますね。店舗のサイズがあまり大きくない場合は、買取した商品で溢れてしまうので、やっぱり鮮度のいい本を優先したい。

とみさわ ビジネスの面から見れば当然そうですね。

小金井 各店舗の買取の現場では、「きれいかそうじゃないか」という基準でタイトルを見ずに判断してもらっています。そうすると、こんな本をこんな金額で? ということもあれば、捨てられてしまっているということもあります。バーコード無しの本でも、状態次第で買えるものは買えるようにする努力はしていきたいです。とにかく、お客様の手に1冊でも多くの本を届けたいという気持ちはあるんです。

楽しそうに話す小金井さん

小国 まあ、そこ(古書価値の査定)を否定するところから立ち上がった会社ですからね。

小金井 世の中に流通した本に値段を付けて、一刻も早く売り場に陳列するというのがぼくらのポリシーなので、そこには良い本も悪い本もないんです。

店舗のレイアウト変更

小国 けっこう頻繁に棚が変わるじゃないですか。棚の場所とか、レイアウトも変わって、さっき言ってた新書の並べ方が急に変わったりとか。ああいうのって、やっぱり変える前提で、今度はどこをいじるかって意識的にやるんですか?

保坂 基本的には、売り上げ部門別にコミックだったり、文庫だったり、ここ調子悪いよね? 場所変えようか? という感じで変えますね。あとは、急に買取が入ってきて在庫がどーんと増えたりしたときに、ここの新書の棚を伸ばそうかとか、こっちを縮めようとか、変えていきます。

とみさわ 棚の位置を変えることで、露骨に売り上げは変化するものですか?

保坂 変化することもあるし、そうでもないこともあります。あまり売り上げのよくない店舗ほど、レイアウトを変えたがるという傾向はあるかもしれません(笑)。

楽しそうに話す保坂さん

馬場 ぼくが行く店はあんまり変わんないですね。

小国 ぼくは、レイアウトを変える店長ほど評価されてるんだと思ってました。だから、あれを見て大変だろうなあと思ってたんです。

馬場 ぼくとしては棚を変えるのをやめてほしいんですよ。探しに行ったら場所が変わっちゃっていて、どこいったんだあれ? ってなるから。毎週行ってると自分の本棚のように覚えてしまうので、同じものは同じところに置いていてほしい。

小金井 ぼくら「誤補充」って言葉を使うんですけど、ようするに本来補充するべき場所とは違うところに本を補充してしまう。それを防ぐために、いまは本のジャンルが値札ラベルのなかにマーキングされるようになりました。

一同 なるほど。

小金井 それで、いままでは出版社別だったんですけど、ジャンル分けして欲しいというお客様からのリクエストがあると、そのように変更したりもしてたんですね。でも、結局は出版社別のほうがよかったということになると、今度は半年後に元に戻すとか、そういう試行錯誤は現場でしています

社員も知らない? 直営店とフランチャイズ店の判別方法

小金井 逆にこちらから聞きたいんですが、皆さんはなんでRC(直営店舗)とFC(フランチャイズ店舗)の違いをご存知なんですか?

島田 フランチャイズの方が値付けとか品揃えが自由なイメージがあるんで、買う側としてはどうしたって気になりますよ(笑)。

小金井 あの看板の矢印あるじゃないですか。あそこに書いてある数字はオープン年なんですよ。

小国 へえ~。

看板の図を持つ小金井さん
BOOKOFF 雪が谷大塚店の外観
BOOKOFF 雪が谷大塚店。看板の矢印の右下には、「01」という文字が書かれているため、2001年にオープンしたとわかる。

とみさわ 実は、私がブックオフの方に聞きたかったことというのが、まさにそれで。直営店とフランチャイズとの明確な違いを知りたかったんです。これまで、ぼくらは品揃えで判断してきたわけですよ。

小国 そうですね。棚の雰囲気というか。

とみさわ だけど、外観で判断する方法(※)はあるのだろうかと、それを知りたかったんです。

小金井 矢印の、三角部分が青だと直営です。

小国 それはすごい情報だ! ああ……この目でチェックしたい!

馬場 早く確認しに行きたくなっちゃってる。

島田 青と、赤?

小金井 矢印の三角のところが青だと直営で、赤だとフランチャイズです。

 BOOKOFF 大和西鶴間店の外観
BOOKOFF 大和西鶴間店

とみさわ 答えは無いかもなー、と思っていたんですが、こんなに明確な答えが出てくるとは!

島田 最高だなー。

馬場 今日、いちばんテンション上がってるんだけど(笑)。

島田 社員の方々は知ってるわけですよね?

小金井 言ってないです。社員でも知らない人は知らないと思いますよ。

とみさわ 最近オープンした店はオレンジと紺色の看板じゃないですか。そこには矢印とかないですよね?

小金井 はい、そこまでは踏襲してないですね。

馬場 いやあ、早く看板を見たいですね。店には入んなくてもいいから、いろんな店の看板だけでも見に行きたい

とみさわ 私は500店舗くらい店の外観を撮影してきたので、家に帰ってパソコンの写真フォルダを見返したいです。

小国 自分が思ってたのとの答え合せ。

とみさわ そうそうそう。

※注「外観で判断する方法」
直営店とフランチャイズ店で矢印の三角を色分けする方式は、2001年8月オープンの「BOOKOFF雪が谷大塚店」から導入されました。この方式は2007~2008年まで続き、その後、2フロア店舗や複合店が増えた関係で徐々に消滅していきます。
外装が3色(黄/青/赤)から現在主流のもの(オレンジ/紺)に変わったのは、2009年7月18日オープンの「BOOKOFF PLUS 前橋広瀬店」が最初です。以後、2009年11月20日オープンの「BOOKOFF池袋サンシャイン60通り店」から直営店は完全にオレンジ/紺になり、フランチャイズ店でも同様の外装の店が増えていき、いまでは直営店とフランチャイズ店を外装だけで判別することは不可能となっています。

愛があっても、愛がなくても通うブックオフ

とみさわ では、最後に皆さん、ひと言ずつお願いします。

島田 ぼくら普段は居酒屋でこんな話ばっかりしてるんですけど、とくにこの本(『ブックオフ大学ぶらぶら学部』)を出してからは、たくさんの人とこういう話をする機会が増えました。隠れキリシタンみたいに、ブックオフ好きであることを公言してなかった人たちとブックオフの話ができたのは、とてもよかったです。

『ブックオフ大学ぶらぶら学部』を持つ島田さん
『ブックオフ大学ぶらぶら学部』を持つ島田さん。なお、刊行後すぐに完売となったはこの本は、新装版として10月下旬に夏葉社より刊行予定です。

小国 新刊書店で働いているときは、ブックオフについてこんなに公に語ることってなかったので、同じように思ってる人たちがたくさんいるんだなっていうのが、新鮮でした。

佐藤 ぼくは本当は、「ブックオフにはそんなに愛はない」ってことを言いたかったんですけど、きっかけがなくて。愛があるから行ってるわけではないんですよ。普通にその辺のコンビニ行くのと同じテンションで行ってるんです。でも、愛はないのに関係を続けてしまうのがブックオフなんです(笑)。

馬場 ブックオフの話をすると、ブックオフに行きたくなってしょうがないので、このあと何軒くらい行けるかなと考えてます。今日は原付バイクで来たから、代々木(BOOKOFF 代々木駅北口店)に行って、新宿西口(BOOKOFF 新宿駅西口店)に行って、幡ヶ谷(BOOKOFF 幡ヶ谷6号通店)に行って、方南町(BOOKOFF 杉並方南町駅前店)に行けるんで、まあ最低でも4軒は行けるかなと。

とみさわ ブックオフのお二人からもお願いします。

保坂 今日は皆さんのお話を聞けて嬉しかったです。やっぱりブックオフの基本は本が好きな人に楽しんでもらいたいということなので、皆さんのような本好きの方々が様々な楽しみ方をしてくださっていることがわかり、非常に感動いたしました。

小金井 本当にありがとうございました。私は保坂が店長のときにアルバイトで入って、保坂は私をアルバイトから社員として採用してくれた恩師になるんです。創業近くからずっと一緒にやってきたなかで、皆さんとこういうふうなお話ができるのは夢のようなことですし、またお酒を飲むようなところにもご一緒できればと思います(笑)。

とみさわ 私は、ブックオフに行き始めたのはそんなに古いわけではないんです。2012年からマニタ書房という自分の古書店を初めて、そこから本格的に行き始めて、その結果ブックオフに日本一くわしいだろうと、なんなら清水国明さんよりくわしいぞ、という根拠のない自信がありました。でも、今日こうして皆さんとお話をして、ぼく以上にくわしい人たちがいたことに驚いています。とても楽しませてもらいました。

ブックオフグッズを持つ座談会参加メンバー
最後にブックオフグッズをもらい、少年のような笑顔を見せた一同。

TEXT:とみさわ昭仁
PHOTO:宇佐美亮・とみさわ昭仁

最後までお読みいただきありがとうございました!この座談会の前編もあるので、ぜひお読みください。

1日に15店も回る!? 異常にブックオフが好きな男たちのオススメ店舗は?

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その数、全国552店舗。日本でいちばんブックオフに行った男の偏愛
【エッセイ】いま私がブックオフに入ってから出るまで

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