ご覧の皆さま、はじめまして! ディスク百合おんと申します。肩書はミュージシャンですが、ライターとしても活動しております。そして、コンビニで売っている食品同士を混ぜて料理を作る「コンビニかけ合わせグルメ」をSNSやメディアで紹介しております。
『コンビニかけ合わせグルメ』(スモール出版)は非常に評判が良く、書籍も出させていただきました。
日々、新作レシピの開発にいそしんでいるのですが、最近こんな情報を知りました。
「ブックオフが最近、訳アリ食品を扱っているらしい」
……え、どうして?
生粋のブックオフヘビーユーザーである自分は、ブックオフでどうして食品を売っているのか、そしてどんな物が売っているのか非常に気になります。そして、願わくばかけ合わせて新しいレシピを作ってみたい!
そう、この記事の後半ではかけ合わせレシピの新作を紹介します!
居ても立ってもいられなくなった私は、食品を取り扱っているBOOKOFF SUPER BAZAAR 409号川崎港町店にやってきました!
食品を売っているブックオフを、この目で確かめる
BOOKOFF SUPER BAZAAR 409号川崎港町店はとにかくでかい! 売り場面積は1,400坪以上もあります。
沢山の衣服や家電、本・CDなど眺めたあと出入り口付近へ行ってみると……。
食品、売ってる~!
ブックオフじゃないみたいだ!
お菓子や飲料、栄養ゼリーや調理用ソースなど、思ったよりも商品の幅が広い! スーパーでよく見かける定番商品から、変わり種まで色々ありました。
YouTuberが食べてそうな韓国系カップ麺も! そしてどれもお安くなってる~!
標準小売価格を見た後で販売価格を見ると、お得感があって思わず買いたくなってしまいますね。
食品のラインナップも多岐にわたっていて眺めているだけでテンションは上がる! ただ、なんでブックオフが「訳アリ食品」を……?
ちょっといろいろ気になってきました……! これではかけ合わせに集中出来ません!
よし、インタビューパートだ!
担当者さんとスタッフさんにいろいろ聞いてみよう!
今回お話を伺ったのは、ブックオフの本社で訳アリ食品販売の導入に携わった木村さんと、実際に店舗で訳アリ食品販売を担当している佐々木さん、齋藤さん。木村さんは顔出しNGとのことで、アイコンで登場いただきます。
木村学さん・事業開発部ゼネラルマネージャー
中途入社でブックオフの店舗に配属された後、エリアマネージャーや統括、支店長に。法人営業職なども経て、現在の部署に至る。ブックオフ歴はなんと23年。
佐々木美樹さん・BOOKOFF SUPER BAZAAR 409号川崎港町店
ブックオフ歴は高校生のアルバイトから(!)という社員さん。当時からブックオフで働く事に魅力と楽しさを感じ、人生の半分以上をブックオフに捧げているとか!
齋藤美和子さん・BOOKOFF SUPER BAZAAR 409号川崎港町店
食品コーナーの品出し・検品を担当するスタッフさん。元々はレジ打ち担当。ブックオフ歴は7年。佐々木さんをリスペクト&こっそり可愛いと思っている。
――なぜブックオフが訳アリ食品を販売することになったのか、教えてください!
――なるほど、太くなりそうなもの。
木村:ただ、太くなる商品であればなんでもいい訳ではなく、ブックオフとの相性を考えないといけないんです。
――お客様がブックオフに持つイメージと一致していないとダメなんですね。
木村:はい。ですので、廃棄される製品を資源と考えて再活用していくような循環型がキーポイントだと思い、合致する商材を探していたんです。大手食品会社の方から年間数千万円分の食品を廃棄していると聞いたとき、「ブックオフで販売できれば、弊社ミッション『多くの人に楽しく豊かな生活を提供する』にも貢献できるのでは」と思い、導入を進めました。
――多くの方がフードロス問題を認識されているとも思うのですが、木村さんなりに感じていた問題意識があれば教えてください!
木村:3分の1ルール(※1)が最もフードロスを生み出す大きな原因と感じました。特に日本人は鮮度志向が強すぎるように思えます。賞味期限が迫った商品でも美味しく食べられると知ってもらえたらうれしいですね。また、残さず食べる・まとめ買いしないなど、消費者の意識で改善できることもたくさんあるんですよ。
※1「3分の1ルール」
食品メーカーとスーパーなどの小売店の間に存在している慣習。
賞味期限が残り3分の1となる前に、卸業者が小売店に納品しなければならないというもの。賞味期限をむかえる日より2ヶ月前に小売店に卸すことができなければ、卸業者は商品を食品メーカーに返却することになる。
――ブックオフで訳アリ食品を買って、食べてもらうことでお客さん側の意識も変わるとよいですね! ブックオフで販売している食品には主にどんな「訳」があるんですか?
木村:賞味期限の近いものから、スーパーやメーカーの都合で生まれてしまった余剰在庫商品までいろいろとあります。新商品を売り出したくても売り場の広さには限りがあるので、押し出された商品は残念ながら余剰在庫になるんですね。通常の場合は、このときに廃棄されてしまいます。ここ数年はコロナによって飲食店が休業したために発生した飲料・油やだしなどの調味料も多かった印象です。
――まだ問題なく食べれるものが廃棄されてしまうのはもったいないですよね……。今、かなり色んな種類の食品が販売されていると思うんですが、人気の食品ってありますか?
佐々木:当店はファミリーでいらっしゃるお客様が多いのもあり、食玩が人気ですね。入荷したらすぐに売れてしまいます。あと、飲料はかなりお求めやすい価格なのでこちらも人気です。
齋藤:変わった味や期間限定の食品も人気です。すごく安くなっているので、ちょっと変わった味でもチャレンジしやすいというのはあると思います。
――実際に買っていかれるお客様にはどういった方が多いですか?
佐々木:圧倒的にファミリー層、お子様と保護者の方ですね。ただ、おひとりでいらっしゃった方でも、カップ麺やレトルトを沢山買って行ったりします。
齋藤:高齢者の方で、栄養ドリンクをまとめ買いされて行く方もいらっしゃいます。定価とくらべても圧倒的に安いうえに、品質もスーパーなどで売られているものと変わりません。私も買いました(笑)。
――今のところ、訳アリ食品の販売は何店舗くらいで実施されているんでしょうか? あと、今後販売する店舗が増えることってありますか!?
木村:現在は22店舗ですね。大型店(BOOKOFF SUPER BAZAAR)を中心に、30店舗ほどまで出店を計画しています。
――近所にも出来たら良いな~。ブックオフさんの取り組み、非常に納得できました。「モノの寿命をのばす」というところでは本も食品も一緒で、急に食べ物屋さんになったわけではないんですね。かけ合わせのヒントにもなりそうです! ありがとうございました!
インタビュー後、早速コーナーへ戻り、今回の目的である訳アリ食品かけ合わせグルメの買い出しを開始!
来店前はどうなるか不安でしたが、眺めてみると気になる商品が多く、スムーズに選べました。インタビューで聞いた情報も踏まえつつチョイスしております。楽しみだな~!
訳アリ食品を使って、かけ合わせグルメを作ってみよう
ではでは、早速作っていきましょう!
レシピ①:インドと中華の競演! 酢豚カレー
使うのは「ゴールデンカレーレトルト バリ辛[夏季限定]」です。レトルト系はかけ合わせしやすいので選んでみました! ただ、食べられないくらいの辛さだったらどうしよう……。こういうチャレンジングな商品がお求めやすいのは嬉しくはありますが!
「辛さ10%UP」に「鮮烈な辛さ」、「7種の厳選唐辛子」など刺激的な単語が目に入ってきますね。「やみつきになる美味しさ」を信じたい……!
合わせるのはコンビニやスーパーで気軽に手に入る「酢豚」です! このぐらいパンチのある中華料理であれば、カレーに負けないのではないかと。ゴロゴロ入った野菜で色どりも良くなりますし、ソースの酸味で辛さを和らげてくれるのではと期待しております。
作り方は簡単です。カレーを温めたら酢豚と混ぜ、ご飯によそって盛り付けるだけ!
これで「酢豚カレーライス」の完成です! 早速食べてみましょう!
ヤバい、すごく美味しい!
覚悟していたカレーは、確かに辛いですが、暴力的で食えたもんじゃない! というレベルではなく、ファーストインパクトで存在感を示しつつも、後に引きずる程の辛さではありません。バランスの取れた絶妙な刺激で食欲を高めてくれます!
さらにそのカレーに酢豚がベストマッチ! お肉は衣をまとっているので、ルーに飲み込まれる事なくジューシー感がしっかり味わえます。野菜も油で揚げられているので食感がしっかり残っており、存在感があります。何より、今回使用した酢豚に使用されていた黒酢が良い仕事をしている! カレーの力強い辛さをマイルドにし、まろやかさを与えております。
酢豚カレーライス、大成功です!
レシピ②:お手軽映えスイーツ! 二色マンゴー杏仁
続いてはデザートに挑戦です!
使うのは「朝からスイーツ マンゴープリン」です! 紙パックに入ったデザートで、手ごろなサイズ感。開封前なら常温で保存できるので家にたくさんストックしておくのも良いですね。
こちらには「杏仁豆腐」をかけ合わせて、ちょっとシャレたデザートを作っていきます!
まず、マンゴープリンを耐熱容器に出して、レンジで500Wに設定し、1分~2分くらい温めます。
すると、このように溶けて液状化します! 固まる前の状態に戻すという訳ですね。
冷ましてからグラスなどの透明な容器に移していきます。半分くらいまで注いだら冷蔵庫に入れて2時間~3時間待ちます。すると……
このように固まるんですね!(そりゃそうだ)今回は食品を再形成して作り上げる、斬新なかけ合わせレシピになっております。
杏仁豆腐も同様に、耐熱容器に出し、レンジに入れ500Wで1~2分。写真のようにしっかり溶かしてください。
冷ましてから先ほどのマンゴープリンの上に流し込みます。ゆっくり流し込まないと先ほどのゼリーと混ざってしまうので気を付けてください! 再度冷蔵庫に入れ、2~3時間経ったら……
「二色マンゴー杏仁」の完成です! 二層に分かれてキレイですね~。
スプーンで上手にすくうと、こんな見た目でとってもステキ~!
濃厚な甘みと芳醇な香りが冴えわたるマンゴーゼリーと、ミルキーでありつつもサッパリとした口当たりの杏仁豆腐がとろけ合い、絶妙なハーモニーを奏でています! ゼリーのつるんとした舌触り、杏仁のトロトロ感という、それぞれの食感の違いを一緒に楽しめるのもこのスイーツも良い所ですね。
さらに一手間加え、上にクコの実やミントの葉を乗せれば、かけ合わせで作ったとは思えない仕上がりになりますよ! ちょっとしたパーティーや差し入れにもオススメです。
面倒で、見た目を気にしない方は、そのまま大胆に混ぜてもOKです! 味は同じですから!
でも、やっぱり二層にチャレンジしていただき、是非その美しさを堪能してもらいたいです。
レシピ③:新感覚つけ麺! にんじんゴマそうめん
最後のレシピです。今までは片方だけ訳アリ食品を使っていましたが、今回は両方訳アリ食品で作ってみます!
使うのは「島原手延べ 黒ごま麺」です! こちらはそうめんですね。こういう変わった食品が気軽に買えるのが良いですね。
こちらは普通のそうめんと違って、黒ごまが練り込まれております。どんな味なのか楽しみ!
合わせるのは「冷製雪にんじんのスープ」です! レトルトのスープですね。
中身を出してみると、鮮やかなオレンジが眩しい! 味見をしてみましたが、人参の甘みと旨みがしっかり出ている上質なポタージュでした。味付けは控えめで素材そのものを味わえる一品です!
今回はこちらのスープを、黒ごま麺のつけ汁に使用したいと思います! ただ、今のままだと味の濃さや、和風・洋風の違いで、上手くハマりません。そこで考えたのが、どこの家庭にもある「めんつゆ」です! 3倍希釈のめんつゆを小さじ1投入します。こうする事で味がグッと引き締まり、和の旨味が加わって麺と馴染むという訳です。これだけで汁はもう完成です!
続いて黒ごま麺をパッケージの記載の通りにゆでていきます。熱湯で3分半~4分。ざるにあげて流水で流しました! 見た目は完全に蕎麦ですね。
でも味見をしてみると、やっぱりそうめん! しかも、つるみやコシのバランスが取れた非常にクオリティの高いそうめんでした! 噛み締めると後からふわりと黒ごまの香りが口に広がります。これがお求めやすい値段で買えるなんて嬉しい!
冷蔵庫にあったのでなんとなくカイワレを盛り付け、「にんじんゴマそうめん」完成です!
なんだか創作料理屋さんのこだわりの一品みたいですね! でも凝った事は一切しておりません。本当にただまぜただけ!
黒ごま麺をしっかり汁にくぐらせて頂きます!
これは絶品すぎる……!
にんじんのスープにちょっとめんつゆを入れただけとは思えないくらい、かなり複雑な奥深い味わいに! スープには元々原材料としてチキンエキスが入っております。そこにめんつゆの魚介出汁が加わって、何だか新感覚のつけ麺を食べているかのよう! ポタージュなので、とろみがあり、細麺にもしっかり絡みます。
麺もツルツルでのど越しが良く、ゴマの相性も抜群! 人参のゴマ和えもありますし、合わない訳がないですよね!
カイワレ大根を色どりでのせましたが、辛味とシャキシャキ感が違和感無く調和しております! 薬味だと、万能ネギも合うと思います。
「にんじんゴマそうめん」これはとんでもない発明をしてしまったかもしれません……!
という訳で、3品とも大成功に終わりました! どの訳アリ食品も大活躍でしたね!
素晴らしい信念に感動。何より訳アリ食品は美味しかった
ブックオフに食品コーナー。最初は意外に思いましたが、現場を見てお話を聞いて非常に納得いたしました。元々ブックオフが取り扱っているリユース品と同様に、食品にも目を向ける姿勢。モノの寿命を延ばすというブックオフの信念と重なり心を打たれましたね……!
何より、使用した訳アリ食品はどれも美味しかったです! ブックオフで訳アリ食品コーナーを見つけた際には、是非今回紹介したかけ合わせレシピを参考にしてもらえると嬉しいです!
TEXT:ディスク百合おん
PHOTO:ディスク百合おん、ブックオフをたちよみ!編集部
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木村:私の所属する事業開発部は、既存のサービスや商材以外のモノを研究開発する部署なんですよ。つまり、商売として太くなるものを探しているんです。