東京・青山に店舗を構える青山ブックセンター本店。アートやデザイン系の雑誌・書籍を多数取り扱い、クリエイターたちも足繁く通うこの書店、実は「ブックオフグループ」なのをご存知でしたか? 今回は青山ブックセンターの社員と、ブックオフに異動した元・社員を直撃しました。

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渡慶次真矢さん(写真左)と石神匠さん(写真右)
11月9日にオープンしたブックオフ初のシェアオフィス『ABBOCC』にて

渡慶次真矢さん(写真左)
青山ブックセンターの社員。2011年より青山ブックセンター本店でアルバイトとして勤務し、検品、接客、棚の選書など、さまざまな業務を担当。2020年より正社員となり、マネージメント、広報に携わる。

石神匠さん(写真右)
元・青山ブックセンター社員で現・ブックオフ社員。2003年より青山ブックセンターでアルバイトとして勤務し、その後正社員になった後、2011年にブックオフに異動。東京、神奈川、埼玉など各地のブックオフ店長を経て、エリアマネージャーに就任。現在、山梨県内の数店舗を担当。

青山ブックセンターは知識・カルチャーに出会える書店

――お二人は、青山ブックセンターをどんな書店だと思いますか?

渡慶次:入り口のすぐそばに洋雑誌が置いてあったり、写真集やデザイン書を多数取り扱っていたり、カルチャーに造詣が深い書店ですね。青山は場所柄クリエイターが多く働いているので、著名な方々が買い物に来られたときは「恵まれているお店だな」と感じます。

石神:私は青山ブックセンター時代、いくつかの店舗で勤務しましたが、毎週末に著名な作家やアーティストを招いてトークイベントなどを行っていて、いろいろと学ぶことができました。青山ブックセンターは、作り手の生の声を聞く機会も多く、さまざまな文化に出会える場所だなと思います。

渡慶次:あえて本の検索機を置いていないのも特徴の一つです。店内を楽しんでほしくて、「この文芸書を買いに来たけれど、この写真集も面白そう」みたいに、できたらお店の棚を見て回って本を探してもらえたらなと。

石神: ざっくりと「このジャンルのこんな感じの本を」と探しに来た人が、イメージを膨らませつつ買うのを楽しめるお店だと思います。

青山ブックセンター入ってすぐのメイン売り場
青山ブックセンター入ってすぐのメイン売り場。話題の本が並ぶ。

渡慶次:雰囲気づくりという意味では、エプロンにもこだわっているんです。最近では、長野県にある「パンと日用品の店 わざわざ」とファッションブランド「オールユアーズ」のコラボ商品を採用しました。パン屋さんのために作られた、デニム地のエプロンなんですよ!

石神:パン屋のエプロン……なんておしゃれなんだ……。

リニューアルしたエプロンを着こなす渡慶次さん
リニューアルしたエプロンを着こなす渡慶次さん。まるでカフェ店員のよう。

2008年、「まさか」青山ブックセンターがブックオフグループに

――現在、青山ブックセンターはブックオフグループなんですね?

石神:そうなんですよ! ブックオフグループに入ったのは2008年。当時の青山ブックセンターの経営会社が破産して、一度は店舗営業ができるかどうかもわからないところまでいったんです。そのときにブックオフが手を挙げてくれたのがきっかけで。

渡慶次:僕はまだ入社する前だったのですが、当時ってどんな感じだったんですか? グループに入って、何か変わりました?

石神:いや、もう「まさか」という感じでびっくり(笑)! だって、新刊書店が新古書店のグループに入るんですよ! どうなるのかなと。あと、もともと小さい書店としてやってきたので、大きな会社の中でこれまでと同じようにできるのかという不安もありました。

心配をよそにこれまでとなんら変わりなく店舗運営を続けることができたんですね。結局、親会社の名前が変わっただけで、あとは特に変化はありませんでした。

渡慶次:そんなに変わらなかったんですね。僕は青山ブックセンター本店が好きで働きたいという思いが強くて入社したので、親会社についてはあまり考えなかったです。今も青山ブックセンターを存続させるために働きつつ、ブックオフのためにも頑張ろうという気持ちでやっています。

渡慶次真矢さん(写真左)と石神匠さん(写真右)

青山ブックセンターとブックオフは真逆な職場?

渡慶次:石神さんが青山ブックセンターからブックオフに異動したのはいつ頃でしたっけ?

石神:2011年ですね。勤務していた六本木ヒルズ内の店舗が閉店したのを機に、ブックオフに移りました。

渡慶次:青山ブックセンターとブックオフは、やっぱり違うものですか?

石神:異動してまず驚いたのは、本を棚に並べる補充のやり方。青山ブックセンターでは、担当スタッフがそれぞれの棚に意味を持たせながら並べていたんですが、ブックオフでは、300冊くらい入るカートを数人でガーッと動かして、「出すぞー!」みたいな感じで10~20分で一気に補充するんです。

渡慶次:おー、そんな違いがあるんですね。

石神:あと、ブックオフは体育会系というか、みんながチームワークで一気にやるんだ!という感じをすごく大切にしているんです。異動初日に歓迎会をやってもらったんですが、かなり遅くまで続きまして、さすがにそのときは「すごい会社に入っちゃったな」と思いました(笑)。

石神さん
当時の熱烈な歓迎を思い出して真顔になる石神さん

渡慶次:えー! 真逆ですね(笑)。青山ブックセンターでも、もちろんスタッフ同士でフォローはしますが、どちらかというと個々で動いて、それがまとまって大きくなるイメージ。チームワークの考え方が違うかもしれませんね。ブックオフが体育会系なら、青山ブックセンターは文化系というか。

石神:たしかに。双方のゴールに向かうテクニック的なところがちょっと違う気がします。

渡慶次さん
ブックオフの濃い文化に驚く渡慶次さん

オンラインストア、SNS、出版も! 厳しい時代に立ち向かう書店の戦い方

――青山ブックセンターはイベント開催やオンラインストア、SNSなど、ネットでの発信も活発ですよね!

渡慶次:はい。全国チェーンに比べると小さな書店なので、自分たちの活動を知ってもらいたくて! オンラインストアは、各棚担当が自分たちで売りたいと思う本を選書して、購入特典をつけたり、遠方で普段お店に来られないお客様にもご利用いただけるように運営しています。SNS発信は、新刊が入荷したらすぐに棚担当者がつぶやくのが当たり前になっています。

石神:オンラインストアやSNSを始めてみて、どうですか?

渡慶次:変わりましたね! おかげで、東京近辺にお住まいのお客様だけでなく遠方の方にも、青山ブックセンターを知っていただくきっかけになりました。今は、オンラインでコミュニティサロンもできていて、サロンに参加している方たちの選んだ本でお店の棚作りをするという試みもやっています。

青山ブックセンターコミュニティの方が選書した棚
青山ブックセンターコミュニティの方が選書した棚。可愛らしいポップにおすすめコメントが書かれている。

渡慶次:実は、今年(2020年)から書籍の出版も始めたんですよ!

石神:聞きました! あれは、どんな狙いがあるんですか?

渡慶次:新刊の発売を待っているのではなく、自分たちで売れる本を作っていこうというチャレンジですね。書店側の「こんな本を売りたい」を実際に本として形にして、お客様に能動的に伝えていこうという思いで取り組んでいます。2020年2月に第1弾の『発酵する日本』(小倉ヒラク)が発売されました。

小倉ヒラクさん著『発酵する日本』
独創的な装丁の小倉ヒラクさん著『発酵する日本』は、限定2,000部の販売

青山ブックセンターとブックオフ、もっと交流を深めていきたい

――これから先、青山ブックセンターとブックオフでコラボなんてどうでしょう?

渡慶次:実は今、ブックオフと協業で「ボランティアボックス」を設置しているんです。お客様に不要になった本やCD、DVD、ゲームソフトを入れてもらい、ブックオフが査定。その買取金額を「ルーム・トゥ・リード」という、世界の子どもたちの教育を支援する団体に寄付できるというものです。
ブックオフグループであるメリットを活用できていると思います。

店頭に置かれた「ボランティアボックス」
店頭に置かれた「ボランティアボックス」。2017年12月~2020年9月までで寄付金は総額183,209円になった。
店頭に置かれた「ボランティアボックス」
ふたを開けて、不要になった本などを入れる。

石神:僕としては渡慶次さんに、ブックオフで棚を作ってほしいです。ブックオフには雑誌がたくさん入ってくるんですが、古いものは店頭でお売りしていないんですね。でも、本好きな人にとってはお宝もあるはず。雑誌だけをたくさん集めたブックオフのお店で、選書するのは青山ブックセンター、というのをやってみたいです。

渡慶次:面白そう! 雑誌は、うちのお店で扱うような尖ったものも入ってくるんですか?

石神:いや、それは残念ながらあまりないですね(笑)。でも、オンラインで全国から買い取っている在庫を一日かけて探せば、すごい掘り出しものが見つかるかも。

渡慶次:僕が作ると、ファッション誌やビジュアル書が多い棚になりそうです(笑)。僕自身、ブックオフはふらっと立ち寄る感覚で入ることが多くて、青山ブックセンターとは違うよさがあると思う。うちのお店に近い選書にはあえてしなくてもいい感じがするんですが、もちろんできることは協力したいです。

石神:そもそもブックオフの社内でも、青山ブックセンターが同じグループだということを知らない人もまだいるんですよね。両社の社員が顔を合わせることもないし、まずはコミュニケーションとることから始めるべきなのかな。

渡慶次:ですね。僕も石神さんのところに研修に行ってお話を聞いたことはありますが、うちの他のスタッフもそうした場に参加して交流を深めるところからかなと。人財やお店の育て方など、それぞれが得意としている考え方やテクニックを知ることで、グループとしてより強くなっていけるのかなと思います。

お話の節々に青山ブックセンターへのこだわりと愛が感じられた渡慶次さん。新刊書店での経験をブックオフにも活かそうと懸命だった石神さん。今後、二人が助けあって両方のお店を盛り上げる未来もそう遠くはないかもしれません。

石神匠さん(写真左)と渡慶次真矢さん(写真右)

※この記事は2020年11月時点のもので、紹介しているサービス等は予告なく変更・終了する場合があります。

TEXT:田下愛
PHOTO:石井和広

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