ブックオフチェーンの基本戦略の1つに「個店を磨く」が挙げられています。地域の特性に合った商材を大きく取り扱うことで、個性を打ち出す店舗を増やしているのです。今回ご紹介するのは、愛知県名古屋市にあるBOOKOFF PLUS 熱田国道1号店。「プラモデルの売上日本一」を目指している同店は、どんな取り組みをしているのでしょうか?

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ブックオフイチの広さ!? 熱田国道1号店のプラモデル売場を紹介

ブックオフ熱田国道1号店の入り口

愛知県名古屋市の国道沿いに店を構える熱田国道1号店は、1999年にオープンした大型店です。近年プラモデル売場を約2倍に拡張して、お客様から大変好評を得ているとの噂。早速行ってみました!

店に入って右側へ向かうと、プラモデル売場が見えてきます。最初に目に飛び込んでくるのは、大きなガラスケース。ケース内にはスタッフやお客様が組み立てたガンプラ、ミニチュアの戦車・戦闘機など(一部非売品)が展示されています。

ブックオフ熱田国道1号店内のガラスケースに並ぶプラモデル

ガラスケースの後ろに連なる棚には、プラモデルの箱がたくさん並べられていました。

店内のプラモデル数は、完成品も合わせてなんと約2,600点!

ブックオフ熱田国道1号店のプラモデル棚
プラモデルの箱がズラリ。お客様からお売りいただいたもののほか、新品も取り扱っています。
トミカがたくさん並んでいる棚
トミカも人気商品。希少な黒・青箱は、高価買取中!

プラモデルを陳列するために33スパンを使っています。全国約800店舗のブックオフの中で「プラモデルに使っている棚の数が最も多い」と言われているそうです。

つまり日本一、プラモデル売場が広いブックオフということですね!

主力商品は、ガンダムシリーズのモビルスーツ・戦艦などを立体化した「ガンプラ」。種類・数共に最も多く、人気が高いプラモデルです。公式ガンプラ総合施設「ガンダムベース」や、バンダイ公式ショッピングサイト「プレミアムバンダイ」限定品なども含めて、幅広く取り扱っています。

箱に入ったガンプラがズラリと並んでいる

このほかアオシマ、ハセガワといった有名メーカーの商品も多数取りそろえています。中でもタミヤのスカイラインやランサーエボリューション、零戦シリーズのスケールモデル(※)などは、特に人気があるそうです。

※スケールモデル……スケールとは、縮尺の意。対象物を忠実に再現した模型のことを指す。

お客様が制作した零戦のプラモデルを展示販売している様子
ガラスケースでは、お客様が制作した零戦のスケールモデルなどを展示販売しています(価格、在庫は同店にお問い合わせください)。

昨年度(2019年4月~2020年3月)は中古プラモデルの売上が全国のブックオフで第2位。惜しくも1位には輝けなかったものの、今期はスタッフが「日本一をとるぞ!」と燃えていて、売上はかなり好調に推移しているとのこと。売場の広さだけでなく、実績においても“日本一”は、目前まで迫っているようです。

熱田国道1号店が、こんなにもプラモデルで盛り上がっているのはなぜなのでしょうか?

プラモデルに力を注ぐ熱田国道1号店! そのヒミツに迫る

ここからは、熱田国道1号店で働くお2人に話を聞いてみたいと思います!

笑顔がまぶしい最上純さん
見た目はクールでも中身はアツイ男と評判です。

BOOKOFF PLUS 熱田国道1号店のホビー主任
最上純さん
2002年、BOOKOFF仙台長命ヶ丘店にアルバイトスタッフとして入社。BOOKOFF SUPER BAZAAR 仙台泉古内店に勤務した後に社員登用され、B・HOBBY(※1)の店長 としてBOOKOFF SUPER BAZAAR多摩永山店、BOOKOFFイオンモール成田店など5店舗に勤める。その後は商品部に7年半在籍し、2018年に熱田国道1号店に復帰。現在はホビー(※2)主任のほか、名古屋支社のホビー・トレカ商材リーダーとして活躍中。

※1  B・HOBBY…プラモデルやフィギュア、おもちゃなどを専門に扱っていた店舗
※2 ホビー…ブックオフではプラモデル・フィギュア・トレカなどのカテゴリを指す

カメラにむかってはにかむ上野正俊さん
熱田国道1号店を代表するプラモデル好き。プラモデル制作歴は、なんと20年!

熱田国道1号店 スタッフ
上野正俊さん

2016年、熱田国道1号店へスタッフとして入社。書籍部門のリーダーを務めていたが、長年プラモデルを作り続けてきた愛好家であることから知識量を買われ、2020年ホビー部門に異動。主にプラモデル売場を担当している。好きな機体はザクⅡ。

――お2人は、普段どんなお仕事をされているんですか?

最上:ホビー主任をやらせていただいてます。自店で何をどう売っていくのか考えたり、仕入価格(お客様から何をいくらで買い取るか)を決めたり、スタッフさんにトレーニングをしたりしています。

上野:主にプラモデル売場をやらせていただいてます。ケース内のレイアウトや棚の配置を考えたり。あとはレジ業務や買取業務、買い取った商品を棚へ補充するっていうようなことをやっていますね。

――熱田国道1号店、独自の取り組みがあれば教えてください。

最上:独自の査定基準を設けて、強化買取を行っていることです! お客様から少しでも高くプラモデルを買い取らせていただいてます。

――少しでも高く買ってもらえるとうれしいですね。何か理由があるのですか?

最上:とにかく棚に陳列する商品のボリュームを下げないようにするためです。あとは、リピーターになってくださるお客様が増えると思ったからですね。売りに来てくださるお客様が多いほど、安定した仕入につながるので。

――商品を売っていただくための工夫が必要なんですね。

最上:査定額が20~30%アップするプラモデル買取キャンペーンを不定期で開催したり、公式Twitterを開設したりもしてます。上野さんや他のスタッフさんと運営しているんですが、Twitterを見てプラモデルを売りに来られる方も一定数いらっしゃるんですよ。

最上さんが笑顔で接客しているところ
プラモデルを査定するときは、お客様と話が弾むこともしばしば。中には最上さんを指名してくれるお客様も。

――そういえば、プラモデルのパーツだけを販売するコーナーもありましたね。

上野:複数のお客様から「探していたパーツがあった」「お得に作れる」とご好評いただいています。私が書籍部門のリーダーをしていたとき、ホビーのスタッフに「絶対売れるから、パーツだけで販売して」と頼んで、このコーナーができました。ホビーのスタッフからしたら鬱陶しかったと思いますが(笑)。

プラモデルのパーツ販売をしている売り場
上野さんの発案で始まった、プラモデルパーツの販売。

――新品の工具などを販売されていましたが、どうしてでしょうか。

最上:中古で扱えない工具や接着剤といったプラモデル制作に必要なものを売りたかったんです。初心者の方でもすぐに一式そろえて始められるようにすれば、もっと当店を利用していただけるんじゃないかと思って、発案しました。

新品の工具などを陳列しているコーナー
工具のほか、ペンタイプの塗料やマスキングテープ、フィニッシングペーパーなども販売。

――必要なものがそろうと、確かに便利。お客様目線に立っていらっしゃるんですね!

最上:プラモデルが好きなスタッフさんたちがたくさんいるので、彼らの意見をなるべく反映しています。自分だけだったら考えも及ばないことはたくさんありますが……。そういう意味では「自分がお客様だったら」という目線には自然となっていると思います。

――プラモデルの売上で実績を出せている最も大きな理由は、ズバリなんでしょうか?

最上:ホビー商材はエンターテインメントなので「スタッフさんが楽しめなければ、お客様が楽しめる売場を作ることができない」というのが持論です。これは、全員ができていると思っています。

上野:プライベートでもプラモデル好きのスタッフが集まってみんなで作るっていうくらいには熱意があるので、それが他のメンバーにも伝播しているのかもしれません。

最上:上野さんは、商品や棚に対する熱意がすごくて「コレもやりたい、アレもやりたい」というアイデアが次から次へと出てきて。形にする力がすごくある人だなと思っています。

上野:視野が狭くなって一人で突っ走ってしまうところがあるので、周りと連携しながらやっていかないと、とは思っているのですが……(苦笑)。

思わず笑顔がこぼれる上野さん
「ずっとプラモデルを作ってきたので、もはや生活の一部です」と言う上野さん。プラモデルのこととなると、熱が入ります。

――上野さんの熱意が発揮されたシーンはありますか?

上野:最上さんにわがままを言って、ショーケースの一段をスタッフが作ったプラモデル(非売品)で埋めました。「こんなにもプラモデルが好きなスタッフがいますよ」とお客様に伝えたくて。

最上:スタッフさんもお客様も楽しめるいいアイデアだと思いました。あと、組み立てたプラモデルを展示しておくことで「完成品でも買い取っている」というアピールになったみたいですね。おかげで、完成品をお売りいただくことが増えました。

上野さんが制作したウェザリングを施してあるアッガイ
上野さんが制作したアッガイ。初めてウェザリング(汚し塗装)に挑戦した記念すべき作品で、頭部の「2902」は「ブックオフ」を表しているそうです。

――スタッフさんのモチベーションが高いんですね。

最上:「プラモデルで日本一とるぞ」と全員に共有できているのも大きいと思います。シンプルに「日本一、日本一」言ってるだけですが(笑)。スタッフさんが楽しめて、きちんと実績も出せる店舗を目指しているんです。

棚がスカスカに! ピンチをチャンスに変えて乗り切った過去

――そもそも、どうしてプラモデルを打ち出していくことにしたんですか?

最上:自分が着任したとき、明らかに他店よりもプラモデルの売上構成比が高かった。つまり、この地域ではプラモデルを趣味にしている人が多く需要があるということなので、自店の個性になると思いました。プラモデルが大好きなスタッフが多かったことも、強みになると感じたんです。

――それで、プラモデル売場を広げたのですね。

最上:私の着任前は、プラモデル売場は15スパンくらいでした。もともと売上がよかったプラモデルに注力するのではなく、幅広い層に需要のあるトイ(低年齢層向けの知育おもちゃなど)を伸ばしていこう、という方針だったので。その考えはよく分かるし正しいとも思います。

――最上さんは、強みを伸ばすことにしたんですか?

最上:正直、賭けでしたね。あえて攻めてみたんです。トイを買えるブックオフは、名古屋支社エリアにいっぱいある。だから店舗によってちょっと売り場の雰囲気に違いがある方が、楽しいんじゃないかと。

――策士ですね! 怖くはなかったですか?

最上:怖かったです(笑)。どう転ぶかっていうのは本当に賭けだったので。でも売場を広げた以上、もうやるしかない。責任を果たせないような数字にはならない算段でしたが、これだけ棚を広げて維持できるかっていうのはもちろん不安でした。

――プラモデルの売り場を広げて、すぐ軌道に乗ったのでしょうか?

最上:ひどいものでした。棚の数を倍に増やしたので在庫が足りず、スカスカになってしまって。「あっはは~! やっぱりこうなるよね」みたいな感じ(笑)。

苦笑いをする最上さん
当時を思い出して、苦笑する最上さん。何回も信念を曲げそうになったそうです。

最上:でも、なるべくポジティブに捉えるようにしました。今までは積み上げて陳列していたプラモデルの箱を「面」でしっかり見せたりもできましたし。不安をモチベーションにかえれば、みんなで頑張れるはずだと思って。

――ピンチをチャンスに変えたのですね。棚を埋めるため、どんなことをされたんですか?

最上:普通に構えていても売りに来てくださるお客様は増えないので、他のブックオフより査定基準を上げて、精度の高い査定をする、ということはやりました。棚を広げるのなら、仕入(買取)を見直さないとっていうのは当然ありましたね。

――それで独自の査定基準を設けられたんですね!

最上:そうなんです。クーポンを配ったり、プラモデルの買取キャンペーンをやったりすると還元率が高かったので、だったらプラモデルの買取金額そのものをアップさせてみようっていう。あとはTwitterやらせていただいたりとか、ポップを貼ったりして工夫もしました。

――この経験で得たもの、学んだことがあれば教えてください

最上:せっかく自店の強みを生かして棚を広げても、棚の在庫や関連するオペレーションが伴っていないと、逆効果になってしまうんだと痛感しました。期待して来店されたお客様をがっかりさせてしまうことになりますから。

――大きな売り場の改変では「売場・在庫・オペレーション面」での見通しが必要なんですね。

「プラモデルといえば熱田国道1号店」と言われたい! ワクワクする今後の展望

――個店を磨くためのコツは、どんなところにありますか?

最上:売上の構成比が高いところを伸ばす。構成比が高いところはお客様からの需要があるということなので、一番時間がかからないのではと思います。また「もっと伸ばしていくためには何ができるかな」ってみんなで考えることができれば、店の個性を出せるんじゃないでしょうか。

――やはり弱いところではなく、強いところを伸ばす?

最上:弱いところを強めていこうという気持ちはあまりなくて。例えば、以前シルバニアファミリーに強いスタッフさんがいたんですが、学校を卒業したので退職されて。「どうしようかな」と思ったんですけど、あえて何もしなかったんです(笑)。

――あえて何もしなかった?

最上:売り場だけでなくスタッフさんに関しても、強いところ・得意なところを伸ばした方がいいだろうという考えなんです。上野さんに関しては完全にガンダムに偏っていますね。

上野:好き勝手やらせていただいてます。好きなものに携わりながら「こういうふうに棚を作りたい」をやらせてもらえるので、働くことへのモチベーションになっているのかも。

最上さん:店の個性はスタッフさんが出すものだとも思います。楽しんでやってもらった方が、ホビーはいい売場ができるんじゃないかな。その結果、オンリーワンのお店ができていったら面白いですよね。そしてスタッフさんが生き生きしているのを見たときは、本当にうれしいものがあります。

――人が店の個性を創る、ですか。いい話ですね。今後の展望は?

最上:店内にプラモデルの制作スペースを作りたいです。新型コロナウイルスの影響で企画が飛んじゃったんですが……。絶対ニーズはあると思いますし、コミュニティができたらいいなとも思っているので、落ち着いたら諦めずにやりたいですね。

上野:スタッフの間では「プラモ売場を拡張するぞ」が、合言葉になっています。もっとプラモデルを置きたい、という自己満足ですが(笑)。

最上さん:拡張というか、もっと幅を広げられるとは思ってます。例えば新品のプラモデルを増やしたり、塗料の取り扱いを始めたり。「ブックオフの中では有名なプラモデル販売店」ではなく「プラモデルといえば熱田国道1号店」と言われるようになりたいです。

目を輝かせる最上さんと上野さん
目を輝かせて展望を語る最上さん(右)と上野さん(左)。

――いいですね! ほかにやってみたいことは?

最上:プラモデルコンテストをやってみたい。自分が作ったものを他の人に見てもらいたいと思っている人は多いですし、プラモデル好きな人が店に足を運んでくれるきっかけになるんじゃないかなと。福岡博多口店が実行しているので、負けてられないなあと思います!

――制作スペースもコンテストも、お客様に参加してもらうスタイルなのですね。

最上:購入するだけなら、この時代どこでもできる。じゃあ「なんのためにお店に来てくださるんだろう」って考えたら、これからはきっかけを提供していかないと難しいと思うんです。

――個店を磨きたいと思っている店舗の方へ、メッセージがあればお願いします。

最上:ホビーは個性を出しやすい商材だと思います。自店にしかない特長や強みを生かせれば「行ってみたい」と思っていただけるに違いありません。ぜひとも一緒に「オンリーワン」を目指していきましょう!

――この記事を読んでいるお客様へも一言お願いします。

最上:ブックオフの中ではプラモデルが強い店、というだけなので、まだまだ未熟です。もっと成長していきたいと思いますのでご期待ください!!

敬礼でキメてくれた熱田国道1号店のみなさん
熱田国道1号店のみなさん、ありがとうございました!

店舗やスタッフの強みを生かし、その個性を育んできた最上さん。好きなことに携わっているスタッフさん達が、生き生きと働いているのが印象的でした。一人ひとりが自信と情熱を持って売場に立てている。だからこそ、お客様を惹き付けてやまないかもしれませんね。

※この記事は2021年3月時点のもので、同店の従業員は予告なく異動する可能性があります。

TEXT:伊藤奈緒子
PHOTO:妹尾桂一郎

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