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ブックオフを見上げるオケモト

気づいたらまたブックオフにきてしまった……それにしてもデカいな

納得できない表情のオケモト

とはいうものの、ブックオフのことって実はそんなによく知らないんだよな……

ブックオフ本社の前で笑顔のオケモト

はい。ということで、色々なパワーが働き、ブックオフ本社に来ました

こんにちは。ライターのオケモトと申します。

突然ですがみなさん、ブックオフ行ってますか?
僕は実家にいた頃、近所にブックオフがあったので、古本や中古CDを買いによく通っていました。地方(静岡)に住んでいたオケモト少年にとって、ブックオフはカルチャーを取り入れるのに必須のスポットだったのです。
そう、僕たちはいつもブックオフと一緒に過ごしてきました。しかし本当にブックオフのことを全て理解しているのでしょうか?まだまだブックオフについて知らない、聞けていないことがたくさんあるのではないでしょうか?そんな今まで胸に抱えてきた疑問を解決する機会、それが今日なのです。
ということで、みんなが大好きなブックオフの気になる話を社員の方に聞いてみましょう!

古川勝一さんと大竹秀和さん

今日お話を聞くのはこの二人。

古川勝一さん
ブックオフコーポレーション株式会社 地域経営支援部 人財グループ グループ長
趣味は名古屋グランパスの観戦とマンガを読むこと、好きな漫画はキングダム、東京リベンジャーズ

大竹秀和さん
ブックオフコーポレーション株式会社 地域経営支援部 人財グループ
趣味は読書と水泳、好きな本は田中芳樹シリーズ、最近面白かった本はGRIT(堀内社長推薦)

どちらも勤続約20年のベテランです。

誰も知らない“ブックオフ”の由来

椅子に座り微笑むオケモト
革のソファーに座ってインタビューすることになり、やや緊張している

オケモト(以下オケ):今日はよろしくお願いします。さっそくなんですが“ブックオフ”という名前の由来は何でしょうか?

大竹:実は…正確には聞いたことがないんですよね。

オケ:ない?!

大竹:社員の中でも、「本が安くなるからオフなのかな」と話しているくらいです。

オケ:じゃあ、なんでこの名前になったのかは分からないんですか?

大竹:ですね……。

※ブックオフ創業当時のメンバーに確認したところ「本を安く売る」という意味で名付けられたとのことでした。

オケ:ちなみになんですけど、お二人の名前の由来は?

古川:?? えっと、「勝一」という名前なのですが、物心ついた時から「一番勝つ」という風に受け取っています。

両親からは「自分に勝つ」という意味だと教えられましたね。

大竹:私は秀和というのですが、父親の秀世という名前から一字もらい、「和」は世界が平和になるようにという思いでつけてもらいました。

オケ:「ブックオフ」という名称よりもちゃんとした由来ですね。ちなみに僕の名前は画数の縁起がいいとかそういうかんじらしいです。

古川:あ、そうですか。

向かい合って話すブックオフ社員とライター
親からの想いが込められた名前を持つ3人が集まりました

オケ:そういえば、ブックオフって本とかがすごい安いイメージですけど……ぶっちゃけ儲かってるんですか?

大竹:その分買取金額も安いので(笑)。一般的なお店では商品を仕入れて販売するという形ですが、ブックオフの場合はお客様にお売りいただいたものを店舗で販売しています。

オケ:みんな大好き古本などですね。安くていいんだよな。

大竹:もちろん、良い商品には高値を付けさせていただいていますよ。今だったら『鬼滅の刃』とかは、競合にも負けない価格で買い取っている。

古川:買い取った商品は「出し切り」(※1)と言って、極力売り場に出すようにしています。出し切って、一点でも多くの商品をお選びいただけるようにしているんです。

オケ:出し切り! 初めて聞きました。出し惜しみないということ?

大竹:お客様には常に現在販売できる最大の商品数を見てもらいたいので。「買い取ったものはすぐ出す!」というのは創業メンバー・橋本さん(元社長)の伝えです。

オケ:じゃあ……タダ働きしている人はいない?

古川:いるわけないでしょ! 1分から時給が発生しているホワイト企業です。

オケ:よかったです。

笑顔の大竹さん
ちょっとドヤ顔の古川さん

※1「出し切り」
「買い取った商品は倉庫に置かず、綺麗に磨いたらそのまま店舗に並べる」という、ブックオフの基本となるオペレーション

本を安く買いたかったら“ところてん”のタイミングをうかがえ!

質問をするオケモトさん

オケ:さて、ブックオフにはいろいろな専門用語があると聞いたのですが……まず「プロパー」(※2)とはどういう意味ですか?

古川:それは「100円以外の商品」という意味ですね。

オケ:じゃあだいたいはプロパーになりますね。

大竹:ご存知の方は少ないんですが、創業当時、100円商品はなかったんですよ。

オケ:えー!100円の商品がなかったのか!

大竹:価格を決めるのデータベースもなかったので、「本に書いてある値段の半額」とかで売値を決めていました。

オケ:かなり大雑把に決めていたんですね。

大竹:でも、定価の半額では当然売れるものと売れないものが出てきますよね。

そこに「100円に値下げすれば売れるんじゃないか」という意見があったので値下げしました。

オケ:100円商品の夜明けだ。

※2「プロパー」
ブックオフ1号店には「軒下ワゴン」という形で100円コーナーがあったそうです

ジェスチャーを使ってブックオフ用語を説明する大竹さん

古川:100円商品というと、「ところてん」(※3)という用語もあります。

オケ:ところてん? あの食べ物の? どういう意味ですか?

古川:ブックオフでは毎日本を買い取っています。そうするとどんどん商品が増えて、いずれ棚が足りなってきますね。それで「これ以上プロパーの棚に本が置けない!」となったとき、プロパーの棚にある本を100円のコーナーに押し出すんです。このオペレーションを「ところてん」と呼んでいます。

オケ:なるほど!

大竹:ところてんを作るときに筒からニューっと押し出すでしょ?それがモチーフになっています。

オケ:じゃあ、ところてんはプロパー価格の本が100円になるから、お客さんにとっては嬉しいことですね!

古川:そうですね。実際にお客様の中にもタイミングを計っていて、「いつ値下げするの?」「これ、値下げした方がいいんじゃない!?」みたいに聞いてくる方もいます。

オケ:そういうときはどう答えてるんですか?

大竹:本の日焼けやダブり、ラベルに書かれている入荷時期などを基準に値下げさせていただいていますと説明しますね。

オケ値段のラベルって入荷時期も書かれてるんだ! 知りませんでした。

大竹:ベテランのスタッフだと前の値段がわかるようにわざとずらしてラベルを重ね貼りする人もいるんですよ。

オケ:あー!! たしかにラベルが重なってると買いだ! って思いますね。スーパーの値下げと一緒!

よく見る。これがあるとつい「お得だ~」と思ってしまう

※2「プロパー
ブックオフでは100円以外の商品のことを「プロパー」と呼ぶ。英語で「正規の」「本来の」という意味がある

※3「ところてん
「プロパーの棚にある本を押し出して新しい商品を入れる」作業のこと。ところてんにより押し出された商品は100円コーナーに行くことがあるのでお得

ブックオフ社員に質問をするオケモトさん

オケ:あと……「毒リンゴ抜き」(※4)っていうのがあると聞いたんですが、どんな意味ですか? 白雪姫?

古川:毒リンゴ=Dランクという意味で、買取の時に値段がつけられないもの。そういう商品が棚にあると周りの本が悪く見えたり、「こういう本でも売れるんだ」と思われてしまう。

大竹:そういうDランクは棚から抜いて処分をしようというオペレーションになっています。

オケ:なるほど、状態が悪いものを指すんですね。どうして毒リンゴなんですか?

古川:白雪姫に出てくる毒リンゴの頭文字ですね。個人的には、「腐ったミカン抜き」の方がわかりやすいと思うのですが……。

大竹:それだと表現がよろしくないから、毒リンゴになったんじゃないかな。

オケ:腐るくらいなら毒がいいと。

古川:売り場で「毒リンゴ抜いた?」と聞くのもあれなので、最近では「D抜き」という言葉を使ます。

大竹:買取時にDランクのものは並べないようにしているんですが、状態が良い本でも並んでいるうちに色褪せたり、お客様が手に取るときにカバーが破れたりしてDランクになることもある。

古川:Dは毒リンゴ、Cは100円、AとBがプロパーなんです。

オケ:商品のランクはABCDになってるんだ!なるほどなあ。

※4「毒りんご抜き
「棚に並ぶ本の中で状態の悪い物を取り除く」作業のこと。店員さんによる毒りんご抜きが徹底されているため、ブックオフには常に質の高い商品が並ぶ

ブックオフの旬は大掃除と引っ越し、衣替えの季節

ジェスチャーを使ってブックオフ用語を説明する古川さん

オケ:本が安くなる時期ってあるんですか? この記事を読んでる人にだけ教えてください!

古川3月、4月など世の中で大掃除する時期ですかね。そういう時期はブックオフに行っても在庫が充実していて楽しいです! あとは引っ越しシーズン後はおすすめです

大竹:通の人はその時期に来ます。買取点数が増えるため、ところてんされる確率も上がります。100円コーナーも充実しますよ。

オケ:なるほど~。全然意識したことないけどおトクですね。

古川:例年ゴールデンウイーク中は、ウルトラセールで本が20%オフになります。大掃除、引っ越しの後は売りに来るお客様が増えるので、良いものを安く一気に売ります。

オケ:よく考えられているんだな~。洋服も一緒ですか?

大竹:だいたい一緒ですが、洋服は衣替えの時期にも商品が増えます。お客様の生活に合わせて仕入れの量が上がりますね。

オケ:その時期にセールも被せてくれるのはすごいですね。売上も上がるのでは?

大竹:はい。下手したら倍くらい上がります。お客様もレジにずらっと並びますし、大繁盛です。

並んで笑う大竹さんと古川さん

オケ:なるほど…。ただ僕、実はブックオフで物を売ったことないんですよね。古着とか本とか、持って行くの面倒だなと思ってなかなかできないでいます。

古川:店舗にもよりますが、ブックオフでは出張買取もやっているんですよ。

オケ:ありがたい! でも、お金かかるんですよね?

大竹:それが……かからないんです。

オケ:ええ?! ただで来てくれるの? めちゃくちゃおトクじゃん。その場で現金ゲットも?

大竹:その場か振込かですね。お客様の希望に合わせて決められます。

オケ:当日でも来てもらえますか?

大竹:店舗の出張買取枠が空いていれば、可能ですね。店舗スタッフが買い取ることもあるし、買取専門のトラックが回っていることもあります。

私も店舗を担当しているときは、月100件くらい買取に伺ってました。

オケ:それは大変だけど、楽しそう。

古川:楽しかったです!

掘り出し物はLカートにある、かもしれない

オケ:僕、よくブックオフに掘り出し物を探しに行くんですが……。昔、少年ジャンプでやってた『めだかボックス』1巻の初版本※って、手に入る方法ありませんか?

※オケモト注:めだかボックス1巻は発行部数が少ないため、初版本はとっても貴重なんだ!

古川:その本にどれほどの価値があるのかはわかりませんが、LカートとVカート(※5)を見れば見つかる可能性は上がるかもしれません。

オケ:LカートとVカート?

大竹:買取や陳列に使っている赤い棚です。

横から見るとLの形をしているから「Lカート」。撮影に協力してくれたのはブックオフ古淵駅前店の社員、田村さん。星新一が好き。
Vの形をしているから「Vカート」。田村さんは『からかい上手の高木さん』も好き

オケ:田村さんご協力ありがとうございます。LとVでなにが違うんですか?

大竹:買い取ったものを加工する(値付けなど)までにVカートを使い、加工が終わって棚に並べる時にLカートを使います。

古川:Vカートはカウンターの中にあって、Lカートはカウンターから出たところにあります。

オケ:Lカートはお客さんでも手の届く場所にあるんだ。

大竹:Lカートはこれから補充される本が載っているカートなので、通のお客様はチェックしていますね。

オケ:Lカートにある本は買えると思っていればいいんですね。

大竹:お客様の中には「これ買ってもいいの?」とお声がけする人もいますが、ずばり買えます。

オケ:まだ荒らされていない宝の山みたいなものですね。

笑顔でライターを見つめる大竹さん
「ずばり、買えます」となんだか嬉しそうな大竹さん

※5「Lカート」「Vカート」
Lカート」「加工し終わった本を棚に補充しに行くときに使うカート」加工されたばかりの本が乗せられるため、見つけたらお目当ての本がないかチェックしてみよう
Vカート」「店員さんの作業用の棚」のため触れることはできない。店内で見つけたら友達に知識を自慢してみよう

個性豊かな“やまびこ”に耳を傾けてみるのも一興

オケ:これよくインターネットで話題になるんですが、ブックオフの店員は「いらっしゃいませ」という声を聞くと「いらっしゃいませ」と繰り返すという……。これはルール?

古川:あ、やまびこ(※6)ですね。YouTubeとかでもそういうネタを見たことがあります。

大竹:一人のスタッフが挨拶をしたとき、遠くにいるスタッフも歓迎と感謝の気持ちをこめて全員で「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を伝えるという意味合いで始まりました。

オケ:それによって雰囲気が良くなったりするんですか?

古川:広いお店だとどこに店員がいるのかがわからないこともあるので、お客様に見つけてもらうためにやっています。それと防犯にもなりますね。

大竹:昔は「とにかく活気をつけるんだ」とうるさいくらいに言っていました。だからか、それぞれこだわりのやまびこがあるんです。

オケ:こだわり?たとえば?

大竹「シャッセンチャーーッ」みたいな。

突然大声を出す大竹さん
いきなり大声を出す大竹さん

オケ:なんて????

大竹:「いらっしゃいませこんにちは」ですね。先輩がそう言っているから、僕も「同じように言うんだ!」と真似してました。

オケ:何て言ってるかはちょっとわからなかったですけど、勢いは感じました。

大竹:ブックオフは「明るく元気に」がコンセプトなので。

※6「やまびこ」
「『いらっしゃいませ!』が店員さんによって連鎖する様子」活気ある店内にする他、お客さんに店員の場所を知ってもらう、防犯になる、などの役目もはたす

思い出がある商品は、高く買い取ってもらえる?

カメラ目線でポーズを決めるブックオフ社員とライター
悲しい思い出が詰まったジャージ

オケ:唐突にすみません。せっかくの機会なので自宅から持ってきたんですが……。これ、前の彼女と付き合っているときに買ったジャージなんですけど、これがダサいという理由で彼女と関係が悪化して、別れてしまったんですよね。この悲しい思い出込みで高く買い取ってもらってもいいですか?

古川:う~ん、お客様の思い出に値段はつけられませんね。

オケ:かっこよく断られた……! ちなみにこのジャージどう思います? かっこよくないですか?

大竹:僕は着ないかな……。あ、でもアディダスですからね、いい値段すると思いますよ。あと、このジャージがダサいから別れる羽目になったとおっしゃっていましたが、本当にジャージが原因でしょうか?

オケ:え?

真顔でライターを見つめる大竹さん
大竹さんのジャージを見る目がスーパーにドライ

大竹:それ以前にオケモトさん自身に問題があったのではないですかね?

オケ:ちょっとちょっと

大竹:小さな不満の積み重ねがあり、たまたまそれを崩すきっかけとなったのがこのジャージだったというだけじゃないですか?

オケ:うそでしょ?

冷ややかな目でライターを見つめる古川さん
古川さんの目線も完全に冷たい

大竹:それをこのジャージのせいにするなんて少し身勝手が過ぎませんか?

もうやめて!!!! 読者のみなさん、思い出は買い取ってもらえません! この話は終わり!!

手作りのセーター、ダメージが過ぎるジーンズなどはどうなんだろう

オケ:この際、気になってたこと全部聞きます。手作りのものって買い取れるんですか? 例えば母がつくったセーターとか。

大竹:市場で値段がついていないと扱えませんね。

オケ:クオリティ高かったら手作りかどうか判断難しいと思うのですが……。

大竹:その場合、タグとかをみて判断しますね。

古川:しかし、服とかブランド品は判断難しいですね。手作りかどうかより判断しづらい。

えー? それだと出来のいいお母さんのセーターは買い取っちゃうのでは?

古川:そこは、目利きのプロがいますので。

オケ:おお!! 免許とか持ってる人ですか?

古川:そうですね。AACD(日本流通自主管理協会)の協会に入っている、長年判断の経験を積んでいて相談できる存在がいますね。店舗でも本当に判断つかないときはWebカメラで相談することもあります。

オケ:それは信頼できますね。

大竹:定期的に研修や試験などがあって勉強しています。

古川:そういう体制がないと買い取る人も怖いですからね。

古川さんのハンドジェスチャー

オケ:じゃあ、ダメージ加工した服とかジーンズは売れます? もとからのダメージかどうかわからなくないですか?

古川:それも専門の人が判断しますね。有名なブランドなのかとか、そのダメージでお客さんに買ってもらえるかどうかが重要です。

オケ:じゃあ良いブランドのジーンズをダメージ加工した方が良い?

古川:加工しない方が良いです。というかダメージジーンズにするのはこだわりがある人なので、お売りいただくケースが少ないですね。

オケ:オリジナルのダメージ加工で付加価値を付けようとするのはやめよう!

ブックオフ用語を知ると、ブックオフライフがもっと楽しくなるぞ

姿勢を正してカメラに向き合うブックオフ社員とライター

オケ:色々聞けてスッキリしました、今日はありがとうございます。大好きなブックオフについて知れて感無量です!

古川:いえいえ、こちらこそ。ありがとうございました。

大竹:ありがとうございました。ところで、今日お持ちいただいたジャージ、帰りにブックオフで売っていかれては?

オケ:いや、彼女に振られた思い出と一緒に持って帰ります。

よむよむ君をなでるオケモト
本社ロビーのよむよむ君と。デカくてかわいい~。

というわけでブックオフの社員さんにさまざまなことを聞いてみました。
ブックオフの歴史や初めて聞く用語、おトクな利用方法などが聞けて非常に楽しかったです。これからブックオフに行くときには、今日のことを踏まえてより楽しく過ごせそうですね。みんなもレッツブックオフライフ!!

それでは、僕は引き続きブックオフで『めだかボックス』1巻の初版本を探す旅を続けようと思います。

TEXT:オケモト
PHOTO:宇佐美亮

【ライター・オケモトさんの記事】

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