こんにちは、ライターのしげるです。
この記事では、応募のあった約1,000句の川柳からコンテストの各賞を発表! さらに特別審査員に川柳を題材にした漫画『川柳少女』の作者である五十嵐正邦さんをお招きし、五十嵐さんが選んだTOP3には、句の内容をイメージしたイラストを描いてもらっちゃいました。
五十嵐正邦
漫画家
漫画家。繊細で温かく可愛いイラストと、くすっと笑えるストーリーで多くの読者を魅了する。代表作でもある『川柳少女』(講談社)はアニメ化もされ、完結した今もなお愛され続けている。現在『まったく最近の探偵ときたら』(KADOKAWA・アスキー・メディアワークス)を連載中。
TOP3の紹介
というわけで、早速受賞作をずらっと発表! めくるめくブックオフの世界をお楽しみください。
まずは、五十嵐正邦さんが選ぶTOP3をご紹介。
第一位
特別審査員コメント
基本、店に寄ったら本棚を素通りすることは不可能なのでそりゃ本増えますよね。以前はなかった本があったり、あまつさえ売りに行った本の続きなんかもあったりして……。
なぜだろうじゃないよ
いやほんと、なんですかね、あの現象……という気持ちになる一句が1位に。いらない本を売りに来たはずなのに、気がついたら買っていて手元に本が増えている。この怪奇現象の原因はあの「持ってきた本の査定が終わるまで、店の中で待っている時間」なんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。専門家の分析が待たれるところです。
第二位
特別審査員コメント
親が「できるだけお金のかからない娯楽を」と、幼少期の僕をナンパしてよく古本屋に連れて行ってくれてました。ブックオフに行くときに通った汚い公園やら知らない人の見たことないくらい大きな墓やら、そんな鈍色の思い出が一瞬蘇ったりしたので好きです。
店内で無限に時間が潰せて、何か買い物をするにしても古本だから安く、ゲームやオモチャみたいな子どもが好きなアイテムまでフォローしているとなれば、親御さんがブックオフを重宝するのも納得です。小さい頃に連れて行かれた記憶がある人も多いのでは。
そんな子どもが成長しても、今も記憶に残るのはあの日のブックオフでの笑顔。だから子どもが大きくなってもつい「ブックオフ行く?」と言ってしまうオカン……そんな月日の流れやオカンの優しさも感じさせる一句です。
第三位
特別審査員コメント
こういう人は自動ドアの開閉音が反射のトリガーになっているんでしょうか。だとしたら病院の待合室とか銀行とかでも言っちゃうんでしょうか。てことは逆に、病院の受付の人はブックオフで「今日はどうされましたか?」とか言っちゃうんでしょうか。
想像が広がる一句だと思います。
ブックオフ名物のひとつと言えば、入店した際に店内のあちこちからかけられる「いらっしゃいませ~!」の声。
ある程度働いている人ともなれば、もう反射的に出るんですね。もしブックオフ以外の場所で働くことになっても便利そうな機能なんで、そのままでも案外いいのかも。まあ、日常生活では大変そうですが……。
社長賞
続いては、ブックオフグループホールディングス株式会社の代表取締役社長・堀内康隆さんが選んだ社長賞の紹介です! 社長が選んだ一句とは……?
堀内さんのコメント
「お客様目線」「あるある感」「ブックオフらしさ」「シュールさ」を総合的に考えました(そのため店員目線の川柳はいいものが多かったですが選定対象外としました)。
やはり私たちの売りでありお客様が求めているものは「110円の本」。ブックオフが欲しいものを届けるということも大切ですが、お客様が買う・買わないに関わらず、店内を歩いていて楽しむ様子を表現したものを評価しました。そして昔価値あるものでも今は110円。でも110円だから探している。なんともブックオフらしい、そしてお客様がワクワクする瞬間と感じました。
ブックオフの大きな楽しみといえば、やっぱり種類や年代を問わず並べられた110円の本の棚を漁ること。特に長年探してた一冊が偶然ポロッと見つかった時の気持ちの盛り上がりは、筆舌に尽くせません。まさにブックオフのエンターテインメントを象徴する瞬間と言えるでしょう。
この楽しみのためにも、110円の棚はぜひともキープして欲しいところ。社長、なんとか今後もお願いします!
ブックオフ依存賞
ここからは、「ブックオフをたちよみ!」編集部が選んだ川柳をご紹介!
まず、とにかくブックオフに通い続ける人の行動や心理がまとまっているのがこの四句です。
引越し先や旅先にあるとちょっとうれしいブックオフ。店舗によって並んでいる本が異なるので、初めての場所で見つけるとつい入っちゃいますよね……。
それに、「安っ!」と思って買った漫画がすでに持っている巻だったというのもありがち。次の日にすぐ売りに来る常連さんは、ブックオフの使い方を心得ているのがよく分かりますね。
店員あるある賞
※1「ところてん」
「プロパーの棚にある本を押し出して新しい商品を入れる」作業のこと。ところてんにより押し出された商品は100円コーナーに行くことがあるのでお得
続いては店員さんならではの川柳。自分が買い取った本が売れて行くと、やっぱりしみじみした気持ちになるものなんですね。
本屋に行ってもついつい棚が気になっちゃったり、タイトルで出版社がわかったり、このあたりも職業病と言えますね。食べ物だと思えなくなるくらいところてんをやりまくっているジョニーさん、お疲れ様です……!
美しいで賞
ブックオフは学習参考書や試験対策本も数多く買取・販売しています。参考書を題材にした川柳からは、春先の入学・卒業シーズンや青春時代の思い出が感じられますね。……しかし季節感が色濃く出ていて、川柳というより俳句みたいになってるな~。
ストーリー賞
別々に投稿してもらった川柳なのですが、なんか一本のストーリーみたいになったのがこの三句。
本当は出会えた時に買うべきなんだけど、つい後回しにしたら買い逃しちゃった。店員さんに聞いても在庫なしということで諦めたんだけど、実はその直後に同じ商品が買取されていた……。
そんな一連のつながりが感じられたので、つい「ストーリー賞」をあげちゃいました。ブックオフの商品は一期一会なんで、緊張感があるんですよね!
松尾芭賞
説明不要、濃密に漂う芭蕉感。見ての通り、古池と古本がかかっております。
「買いに飛び込む」のあたりから仕事終わりの解放感と古本探しのワクワク感が漂っていますね。店舗によっては22時くらいまで営業しているので、仕事終わりにちょっと立ち寄ることができるのもありがたいところです。
たしかにややこしいで賞
「たしかに……!」と膝を打ってしまったのがこの一句。オフだかオンだかどっちやねんという気持ちになりますね。
さすがにわかりにくかったからなのか、本当のところはわかりませんが、サイト自体の英字表記は「BOOKOFF Online」とオンライン部分の頭文字以降は小文字になっております。
ブックオフの豆知識で賞
大型複合店のBSBこと「BOOKOFF SUPER BAZAAR(ブックオフスーパーバザー)」。
しかし最後の「バザー」を「バザール」と呼ばれちゃうこともしばしば。一定以上の年齢の人間にとって、いかに「バザールでござーる♪」の影響が強いか如実に表れております。
というわけで「ル」は不要ということだけでも、覚えて帰ってくださいね~。
総括
最後に特別審査員の五十嵐正邦さんより、コメントをいただきました。
審査員・五十嵐正邦さんの総括
あるあるネタと川柳は親和性がとても高いので、今回私が選ばせてもらった3句はどれもあるあるネタになりました。接客したことないけど。
SNSの普及により、限られた文字数で他者とのコミュニケーションをとる能力は若い人の方が長けているのかもしれません。そんな今の若い人たちが今一度川柳に触れて日本語の面白さに気づけるようなきっかけになるいい企画だと思いました。
偉そうに言ってますが、お前は川柳のなんなんだよと言われると実は何でもないので聞き流してください。
というわけでブックオフ川柳コンテスト、いかがでしたでしょうか。店員ならではの視点で綴ったものから、お客様目線で詠んだ一句まで、ブックオフ愛に満ちた川柳が集まりました。
みなさん、もしこの記事を読んで「川柳を詠みたい」と思ったら、ハッシュタグ(#ブックオフ川柳)をつけてTwitterで投稿してください。投稿しても何も起きないですけど……。ひょっとしたら、第二回の川柳コンテストを開催させていただくかもしれません……!
ということで、その日までブックオフに通って、ネタを溜めといてもらえると何かいいことがあるかも!
それではまた明日も、ブックオフで会いましょう!
※価格表記については2021年5月現在のものです
TEXT:しげる
イラスト:五十嵐正邦
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