最近、多くの企業が取り組んでいる「SDGs」(エス・ディー・ジーズ)。実はブックオフは以前からSDGsに関連するさまざまな取り組みを行っています。ブックオフの取締役でSDGs担当の森葉子さんにお話を伺いました。

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森さんのプロフィール写真

ブックオフグループホールディングス株式会社取締役
森葉子さん
1968年生まれ、兵庫県出身。1991年、日本マクドナルド入社。その後、ロッテリア、コロワイドなどを経て、2019年6月ブックオフ入社。好きな本は『13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社)。中学、高校ではソフトボール部に所属。趣味は映画鑑賞。

ブックオフの事業は「SDGs」の「目標12.つくる責任、つかう責任」に合致

――ここ数年で「SDGs」(エス・ディー・ジーズ)という言葉を頻繁に聞くようになりました。あらためて、どのようなものなのか教えてください。

SDGsは「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)の略称で、ごく簡単にいうと、「世界を今より良くするために、2030年までに世界中の人々全員が協力して達成すべき目標」です。2015年9月の国連サミットで採択されました。

具体的には、「貧困をなくそう」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「気候変動に具体的な対策を」などといった17の大きな目標が掲げられ、さらにそれらを達成するための詳細な169のターゲットが設定されています。

そして、そもそもブックオフのリユース事業は、「廃棄されるモノをなるべく減らす」「モノの寿命を長くする」ということを前提としたビジネスモデルで、この大目標の12番目、「つくる責任、つかう責任」と合致しています。

SDGsポスター
つまり、ブックオフを利用するだけでSDGsの掲げる目標達成にコミットできるということ。

――ブックオフの事業そのものが、SDGsに通じているんですね! ところで、森さんはいつからブックオフのSDGs担当をされているんですか?

入社後からなので、1年半ほどですね。

――まだ入社1年半なんですね!? これまでの経歴を簡単に教えていただけないでしょうか。

森:はい。実は私、社会人になってからずっと飲食業界で働いてきました。高校生の頃から6年半アルバイトを続けたマクドナルドに、大学を辞めて入社したのがキャリアの始まりです。
マックに13年ほど勤めたのち、いくつか会社を経て、ブックオフに入る前は、居酒屋チェーンなどを展開するコロワイドで取締役をしていました。

――マックのアルバイトから、東証一部上場企業の取締役……。なんか夢がありますね。それで、なぜブックオフに?

社会問題や環境問題に貢献できる仕事をしたいと思ったからですね。外食産業でそれができないというわけではないのですが、前述したとおり、ブックオフは事業そのものがSDGsにつながっています。「ここでなら、企業を成長させながら持続可能な社会の実現に向けた取り組みにチャレンジできる!」と思って入社を決めました。

インタビュアーの質問に笑顔で答える森さん
堀内社長の語るビジョンに強く共感したのだとか。

ブックオフのSDGsの取り組みを世の中に発信する。そして、共感いただく企業やお客さまたちと一緒に、さらにSDGs取り組みを加速させていく。それが私の役割だと思っています。

規格外の生花を格安で販売する「チャンスフラワー」

――では、さっそくブックオフのSDGsの取り組みについて教えてください。

最近、メディアでもよく取り上げられていて、わかりやすいのが「チャンスフラワー」ですね。これは、本来なら廃棄されてしまう規格外の生花をブックオフで販売するという事業で、生花の販売やイベント企画を手がける株式会社hananeさんと共同で行っています。

2020年に実施されたチャンスフラワープロジェクト『花つみ』のポスター。
※開催日程は変更の場合があります(画像提供:hanane)

2020年2月からテスト販売を始め、7月から関西の2店舗で実際に切り花を取り扱いました。価格はどの品種でも一律で、1本100円です。

まずは隔週で「金曜から日曜まで限定販売」をしてみたところ、3日間合計で約150人のお客さまにご購入いただきました。女性を中心に、それまでブックオフに足を運ぶことのなかった層のお客さまにも来店いただいて、大きな手ごたえを感じました。
現在、直営の120店舗を目標に「チャンスフラワー」の取扱店を増やす計画を進めているところです。

当初、社内では「なぜ、ブックオフが生花を売るんだ?」という疑問の声もあがりましたが、「不要になった物を必要な人に使ってもらいモノの寿命を延ばすことが“リユース”であると考えれば、ブックオフがこれまでやってきたことと変わりません」と説明しています。

このチャンスフラワーをきっかけに、賞味期限間近の食品の取り扱いも一部の店舗で始めています。

――なるほど、ほかの企業とコラボしてSDGsに取り組まれているんですね。

そうですね。SDGsの17番目の目標は「パートナーシップで目標を達成しよう」です。企業や自治体をはじめ、さまざまな組織や団体と連携することも、SDGsの目標に掲げられているわけです。

――自治体とも連携していると伺ったのですが……?

はい。たとえば、神奈川県とは2014年から「かながわキンタロウ☆ブックキフ」という寄付金事業に取り組んでいます。

寄付希望者が県のホームページで本などの不要品の提供を申し込むと、ブックオフが「宅配買取サービス」を通じて不要品の査定を行います。その査定額に10%上乗せした金額を、「かながわペットのいのち基金」など、県内の12の基金などから選んで寄付できるというものです。寄付金の総額は、2020年12月末の時点で1000万円を超えています。

インタビュアーの質問に答える森さん

――お金を渡すのは少し躊躇してしまいますが、不要品なら気軽に寄付できますね。

そうですね。2019年にブックオフが立ち上げたクラウドファンディング「キモチと。」は、まさにそうした思いを汲み取ったサービスです。応援したいプロジェクトを指定して、本、CD、DVD、ゲーム、おもちゃ、ホビー、ブランド品・宝飾品・小型家電……などの不要品をブックオフに郵送すれば、査定金額が応援金として対象のプロジェクトに贈られます

応募を待っているプロジェクトは、「障がい者のアート活動の支援」「貧困世帯の子どもに食事の提供」といったものから、「コロナ禍で経営が苦しくなったスポーツ団体の応援」など実にさまざまです。これまでの累計の応援金額は約3億3000万円で、500万円以上が集まったプロジェクトもあります。不要品を捨てる前に、ぜひ「キモチと。」を思い出してください。

クラウドファンディング『キモチと。』の支援先一覧画像
まったく新しい“物で支援するクラウドファンディング”。ローカルからグローバルまで、支援先の幅は広い。

破砕したCDやDVDの再生利用にも取り組む

――そのほか、最近のSDGsに関連する取り組みがあれば教えてください。

2020年10月から、愛知県南知多町で「空き家のお宝発掘社会実験」に取り組んでいます。これは、不要品リサイクル業者の「浜屋」、「空き家コンサルティング」、「日本リユース・リサイクル回収事業者組合」と共同で進めているプロジェクトで、空き家内にある不要品を買い取ったお金を、空き家の解体や再生に利用してもらうための仕組みづくりをしています。

いま日本には800万戸以上の空き家があるとされ、「所有者が解体費用を工面できないために放置されたまま」というケースも少なくありません。そうした社会課題の解決にもつながる取り組みではないかと思います。

インタビュアーに対し手を使って説明する森さん

また、「不要品のお片付け」でいえば、フリマアプリの「メルカリ」と家事支援サービス「カジタク」とコラボして、2020年12月から2021年1月まで期間限定で「捨てない大掃除プラン」を実施していました。カジタクが提供するプロの整理収納サービス「片付け名人プラン」を利用すると、片付けの名人が不要品を捨てずに「メルカリ」もしくは「ブックオフ宅配買取」へ仕分けし、リユースするというものです。

コロナ禍のいま、在宅時間が伸びて不要品の処分ニーズが高まっています。今回の取り組みはあくまで「大掃除」を対象にしたものでしたが、今後もお片付けニーズに応えるサービスを提供していきたいと思います。

覚悟を決めて片づけを始めても、自分一人では不用品にも“ときめき”を感じてしまうもの。プロの手助けはありがたい……。(画像提供:メルカリ)

――思いもよらない不要品も買い取ることになりそうですね。

そうですね。ただ、ブックオフとしては、不要品をお売りいただかないと商売にならないので、買取の機会が増えることはとにかくありがたいですね。

買い取ったものは、無駄なく販売するようにしますが、国内で販売しづらいものは海外にも輸出しています。たとえば、マレーシアでは「Jalan Jalan Japan」という名で店舗展開をしていて、取扱商品は、アパレルのほかに、生活雑貨、ベビー用品、おもちゃ、ホビー、スポーツ用品、楽器・家具……とすべて日本で使用された物です。「日本人形」などは現地の人にとっては珍しいのか、よく売れるのが面白いところですね。

JJJ店舗外観看板
ブックオフがマレーシアで展開するJalan Jalan Japan。「日本人が使っていたモノ」はウケがいいらしい。

――日本で売れなければ、海外で売る。ブックオフからは徹底的に「不要品」「廃棄品」を出さない方針なんですね。

そのとおりです。昨今はCDやDVDの売れ行きが落ちていて、大量に在庫があるものなど、どうしても廃棄しなければいけない物も増えています。これまでは破砕して処分していたのですが、いま、その破砕ゴミを再生利用して小物や雑貨をつくる研究も進めています。

また、傷みが激しいなどの理由で泣く泣く処分しなければいけない本は、日本製紙さんの協力を得て、再生紙に利用してきました。リユースできないものは、加工するなどしてリサイクルする。限られた資源を有効活用する取り組みを、ブックオフは以前から続けています。

――SDGsという言葉が広まる前から、こうした取り組みを行ってきたんですね。最後に、今後の目標について教えてください。

さまざまな企業や自治体、学校などと連携して、SDGsに則ったビジネスを展開していきたいと思います。ブックオフは全国に800店舗以上あり、これまで30年以上にわたって培ってきた「リユース」のノウハウもあります。そうした基盤を活用して、「ブックオフと一緒に循環型のビジネスを始めたい」という企業、行政の方々は、ぜひお気軽にお声がけください。

 片手をあげる森さん

SDGsは多様性に富んだ社会の実現につながるものです。SDGsの考えが浸透すれば、女性も、男性も、ハンディキャップのある方も、ない方も、すべての人がそれぞれの持ち場で、やりがいを感じながら働ける社会に近づくのではないかと思います。ブックオフのスタッフ一人ひとりにSDGsに関心を持ってもらって、今以上に多様な人材が活躍できる会社にすることが目標です。

そして何より、お客様にとってはブックオフでモノを売り、買うこと自体が社会課題解決への手助けになることを知っていただきたいですし、モノを捨てる前にまず思い浮かべてもらえる存在になることができればと思っております。

TEXT:相澤良晃
PHOTO:石井和広

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